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に受話器を取ると早速バイキングを申し込んでいる。
「そう、二人分ね」
「オイィ!なに勝手に二人分頼んでんだよ!」
「何?副長さんはここにきたかったんだよね?ここの目玉を試すために来たんじゃなかったの? それともほかに何か目的でもあった?」
「ぐっ・・・」
ニヤニヤしながら聞いてくる銀時に、読まれてたことに今更気がついた。 悔しいが、認めるくらいなら甘いもんに窒息させられたほうがマシだ。
◇ ◇ ◇ ◇
コンコン
控えめなノックの音に、待ってましたとばかりの銀時は、ドアを開いて従業員たちを招き入れる。ワゴンの数4台が、それぞれ三段重ねで所狭しと甘味を並べている。保冷のためか、ドライアイスの煙が凝った作りのワゴンから夢の世界のように絶え間なくゆらいで落ちている。
「本日の新作をメインにしております。皿が空きましたらご要望のテイストでご用意いたしますので。 それとこちらはルームサービスのメニューとなっております。」
そういって差し出された、落ち着いた雰囲気の薄いノートらしきものをうけとると、一同がすっと一礼して音もなく速やかに去っていった。
「ほい」
と渡されたグラスに銀色の液体が注がれる。
「なんだ?これ」
「ウェルカムドリンクだよ。天人製らしいが甘くなりすぎた口を適度に洗ってくれる。おかげでいくら食べようがきちんとどれも美味しくいただけるって代物だ。 んじゃ乾杯」
「乾杯って何にだ?」
「んー、土方くんのスウィーツ王国入国に?」
「・・・・いつの間に入国したんだ」
ぶちぶちと文句を言いつつも、一口飲んでみてなるほどと思った。さっぱりとした炭酸に口の中が洗われるようだ。
さて、と覚悟を決めて3段重ねのワゴンを見る。と、手際よく3種類盛り付けられた皿がスッと渡された。
「甘いもの初心者は、まずはあっさりしていて生果の多いのと食べやすくて定番の焼き菓子から」
それなら多少はいけそうだと、まずはイチゴのタルトを口に運んでみる。マヨの味のまったくしないものを口にすること自体が久しぶりだった。
「へえ」
美味い。確かにそれを売りにしてるだけあってなかなかのものだ。
「どう?」
「悪かねぇ」
素直にほめるのは癪に障ったのでそう言いながら食べた。
「そうか」
ふっと銀時が顔を緩めた。
「んだよ」
「いやね?初めて俺が好きなもん副長さんが口にしてるのみてると嬉しくなっちゃってさぁ。悪かねぇって事はアレでしょ?不味くないわけで・・・なんかホッとしたわ」
へラリと笑ってる万事屋を見ているのがむず痒くなってつい目をそらしながら
「・・・さすがにこれ全部は無理だぞ」
「おー、まかしとけってんだ!後2、3回は頼むしな」
「はァ?
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