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SWEET DREAM
 
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ないに違いない。洗う方としても気持ちいい髪だ。
途中「うー?うん・・・」などの呟きから察するに、向こうもどうやら気持ちいいらしいのだが、少しは目が覚めてくれただろうか? 頭用2コンディショナーを使用するが、果たしてこの髪に必要なのか・・・はなはだ疑問に思いつつもコンディショナーを濯いで終了し、再び声をかけてみる。
「おーい、体はさすがにそのままじゃ無理だから出てきてくんない?」
「うん、うー・・・」
返事とともに、のそのそと動き出す。ぜんぜんシャキッとしてなーい! 体まで俺が洗うんですかー?
湯船から出たはいいが、そのままゆらりと上体が傾いだ。
「おっとぉ〜」
とっさに体で受け止めると、火照った頬を摺りつけるようにして、今度はそのまま体を預けてしまう。 無防備に預けられた身体は、たしかに自分と同じ男のものだ。柔らかさなどどこにもないはずなのに、心臓の音がやけに大きくうるさい。無意識に腕をまわしそうになっていることに気がつき、慌てて引き戻す。
身体を支え、何とかドーナツの椅子に座らせることに成功した。体用ボディソープをブラシにつけて、わしわしと適当にこすりだす。腕を持ち上げわしわしこする。背中から項へわしわしこする。上背は変わらないが、自分と比べればやや細身に見える体格は、それでもきれいに筋肉がついていて、傷痕も少ない。天人の技術を取り入れた成果の一つだ。ほんの数年前には死につながった傷が、今や痕を残すことさえ減っている。
カクンと前のめりになっているのを引っぱり、肩口へ頭を預けさせる。極力肌が触れないように、胸と腹をわしわしと洗うことだけに専念しようとする。が、位置が位置なだけに酔いのせいで熱い頬や息が首筋にかかり、その度に何かを必死でこらえるハメに。
( あれー?なんかおかしくないですかー?銀さんー?ちょっと変じゃないですかー?銀さんーっ!)
自分の理性に必死で呼びかけている間に、ようやく腹まで洗い終えた。
再びゆっくり前のめりの体制に戻し、わしわしとブラシを動かしながら、足のほうへと移動して、思わず目を見張った。本当にあのゴリラの仲間かと思うほど、つるつるの足なのである。頭のどこかで激しく警報が鳴り響き続ける中、わしわしと足をこすっていたら、
「んぁ?」
ピクッと肩が揺れた。どうやら、やっと目が覚めてくれたようだ。
「よ、起きた?ちょうど良かったわ。あとは自分で洗ってくれ」
手にポンとブラシを渡すと、何事もなかったようにさっさと湯船にもぐった。

 すっかり冷めてしまった湯船に湯を足しながら、ひたすら土方を視界の外へ追い出す。
 早く頭を洗おう。洗って洗って妙な雑念を追い払うんだ。ひたすら自分の頭をどう洗うかを考え続けた。
 土方が湯船に向かう気配を感じたとたん立ち上がり、シャワーの勢いを最大にして湯をかぶった
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