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「おやぁ?お花ちゃん、何してんの?」
「あら銀さん、この間は助かったわ。個人的にお礼したいと思ってたところなのよ。」
空よりもネオンがまぶしくなる時間帯に巡察していると 時々、こういう光景に出くわす。
「何なに?個人的にお礼?うれしいねぇ。銀さんちょうど甘いものが切れててさぁ。もう禁断症状?みたいな。」
「やーね、もうっ。すぐにケーキやパフェなんだからぁ。じゃぁ・・・」
一人として相手は同じ女ではなかったが、たいてい流れは同じだ。ヒソヒソと耳打ちする女の話を聞いてる万事屋の顔が微妙に緩む。
「へえー、マジ?最近はそんなとこあんの?」
「どう?気に入った?」
「食べ放題なの?そこ」
「もちろんよぉ。”あ・た・し”もね」
「よーし銀さん、はりきっちゃおっかなぁー。そっちもそういえばご無沙汰だったしねー」
にかっと笑うと腕に纏わりついた女と人ごみに消えていった。
「あっ!副長ーっ。ひどいですよぉー置いていくなんてぇー」
我に返り、くわえたままつける事を忘れていたタバコに火をつけ振り返った。
「おめェが遅いのが悪ィ」
おかげで胸クソ悪ィモン見ちまったじゃねえか。ひとりごちて とりあえず山崎を殴っておく。
「?」
(――――胸クソ悪い?なんで?何が?)
ふっと浮かんだ疑問が携帯の音にまぎれる。「ハイ土方―・・・」
「ザキィ!すぐそこで喧嘩だ、行くぞっ」
「は、ハイィ!」
酔っ払いの喧嘩だったが、抜刀しながらとのことだったので、見物人を割りながら近づいてみると、
「目玉焼きには醤油だろーがぁぁああ!!」
「ウルセェ!味覚音痴がァ!!塩コショウで決まってんだよォ!!ウルァ!」
めまいがしそうなくだらない喧嘩の内容にさっさと抜刀するやいなや、回し蹴りで蹴り倒し二人とも仕留めて抜身の切っ先を突きつけながら、
「オイ。目玉焼きだろーが出し巻きだろーがマヨネーズが決まりだァ!それででいいな?オラァ!」
ゴゴゴゴゴッとでも音のしそうな暗黒オーラを纏いながら一応喧嘩の仲裁を片付けた。遅れて到着した隊員に後を任せ
「山崎、巡察にもどるぞ」
元のルートに戻ろうとしたとたん、再び携帯が鳴り、結局あっちこっちに振り回されている間に気がつけば定時をとっくに過ぎてしまっていた。
「山崎、お前もう上がっていいぞ」
「えっ、副長はどうするんですか?」
「俺ァもう一回りしたら帰る」
「そんなこといって厄介ごとに巻き込まれないでくださいね」
「うるセェ、いいからとっとと帰れ」
監察の山崎を連れまわして肝心なときに使えないようでは困るのだ。副長の自分にもそれが当てはまるとの自覚は微塵もなかったが。
◇ ◇ ◇ ◇
「ふぁっ―
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