第五十四話 山師の館その十四
[8]前話 [2]次話
「そのことは組織でもだね」
「それを言うとはね」
「何しろ私は詐欺師だからね」
「詐欺師は法律に詳しい」
「そう、さもなければ詐欺師にはなれないのだよ」
法律の盲点を衝いて動くからだ。だから詐欺師はある意味法律に対して弁護士や検事より詳しいものなのだ。
それが超一流の詐欺師となればだ、余計なのだ。
「私程になると熟知しているよ」
「そのことも」
「おそらく卿よりもね」
「だからだね」
「この暫くの間は」
それこそだ、その達が動くまではというのだ。
「戦えるね」
「では」
「もう私も最後の怪人達を創っていてね」
教授は余裕の笑顔でだ、伯爵に話した。
「ここにも用意しているよ」
「ちっ、戦うことになるか」
薊は教授のその言葉を聞いてまた言った。
「最後の最後まで」
「達には従うよ」
教授は鋭い目になった薊達に彼だけは余裕の笑みで返した。
「私もね、さもないと組織から追放されるからね」
「あんたも組織からは追い出されたくないか」
「組織にいて悪いことはないからね」
だからだというのだ。
「その決定には従うよ」
「けれどなんだな」
「達がはじまるまで時間があるのなら」
例えそれが僅かでもというのだ。
「最後はね」
「じゃあその怪人を早く出せよ」
売り言葉に買い言葉の様にだ、また言った。
「ここで倒して終わらせてやるさ」
「元気がいいね、ではね」
教授は構えている少女達の前でだった、悠然として。
右手を悠然と自分の顔の横に掲げてだ、親指と人差し指を鳴らした。
するとその周りに怪人達が現れた、最後の怪人達が。薊達の戦いはここで最後のそれに入ろうとしていた。
第五十四話 完
2015・3・22
[8]前話 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ