第五十四話 山師の館その十三
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「それを証明したいのだよ」
「だからこの娘達にも怪人を仕掛けている」
「如何にも」
その通りだというのだ。
「わかっているじゃないか」
「正直迷惑なんだよ」
薊は目を怒らせて教授に言った。
「そんなことはな」
「戦いたくないのだね」
「ああ、そうだよ」
薊も他の少女達もだった、誰もが。
怒り拒む顔だった、それで薊も言うのだ。
「止めておくれないか?怪人連中送って来るのは」
「それを止めてもらう為にだね」
「ここにも来たんだよ」
教授の別荘であるこの屋敷にというのだ。
「あたし達もな」
「そのことも知っているよ」
「じゃあな」
薊は手にしている棒を構えてだった、教授にあらためて言った。
「止めてくれるかい?」
「嫌だと言えば」
「あたし達は普通に暮らしたいんだよ」
薊はこの願いを教授にあえて言った。
「絶対にな」
「その暮らしを手に入れる為にはだね」
「これまで戦ってきたしな」
「そしてだね」
「これを最後にしてやるさ」
こう教授に言うのだった。
「その為にもな」
「私と戦うんだね」
「それかあんたが出す怪人ともな」
「教授、この娘達は私と天極博士の娘だからね」
伯爵もだ、教授を見据えて彼に言った。
「これ以上の無体は止めてもらうよ」
「そう言うとは思っていたけれどね」
教授も伯爵に言葉を返す。
「卿が来た時から」
「ではいいかな」
「断れば」
「既に組織からの達が来ているよ」
「私に対しての」
「そう、卿はこの娘達とその子孫に対して手出しをしてはならない」
このことをだ、伯爵は教授に告げた。
「長老会議での決定だよ」
「おやおや、人造人間同士の勝負に長老会議が出るとはね」
「私の意見を認めてくれたのだよ」
「人造人間は人間だという」
「そう、この考えを認めてくれたのだよ」
その長老会議、組織の中にあるそれがというのだ。
「ようやくね」
「我々の組織は人の世を照らすもの」
教授はここでこの言葉を出した。
「その力で」
「人を害するものではない」
「だからだというのだね」
「この決定、即ち達は間も無く発動するよ」
「間も無く、だね」
「そう、卿には下がることを求めるよ」
「いや、間も無くなら」
教授はまだ余裕の言葉だった、その言葉でだった。
そのうえでだ、こう伯爵に返した。
「まだ時間があるね」
「おや、言葉尻を捕らえてきたかい」
「事後立法は認められる筈だね」
その法律で禁じられていようともその法律が施行される以前の行動は罪に問われることがないのだ。例えば国家反逆罪が成立し施行されようともそれが施行される以前の国家反逆行為は罪に問われないのだ。近代法の絶対の摂理である。
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