第五十四話 山師の館その六
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「戦いの中で強くなってきているね」
「そういえばそうですね」
鈴蘭が伯爵のその言葉い応えた。
「何度も戦っているうちに」
「経験だね」
それによるものだとだ、伯爵は答えた。
「その結果だよ」
「戦いを知ってきたんですね」
「そしてね」
「力もですね」
「それも強くなってきているね」
ここでは身体能力だけでなく気のことも言っている、伯爵はそうしたことまで見て少女達に話をしているのだ。
「そこもね」
「そうですね、確かに」
「戦いに勝って生きる為に、けれど」
それでもとだ、また話した伯爵だった。
「その生きる為の戦いもね」
「ここで、ですか」
「終わらせよう」
絶対にというのだ。
「是非ね」
「わかりました」
菊が応えた、そして屋敷の門を見て言った。
「あそこを開けて」
「中に入ろう」
「あの中にですね」
「そう、間違いなくね」
「カリオストロ伯爵がいますね」
「彼がね」
「そうですよね、けれど」
ここでだ、ふとだった。
菊は首を傾げさせてだ、伯爵に言った。
「あの伯爵の得意にしているっていう幻術ですけれど」
「それはだね」
「まだ、ですね」
「うん、仕掛けてきていないね」
それを言うのだった。
「間違いなく仕掛けて来るけれど」
「それが何時か、ですね」
菫も門を見て伯爵に言った。
「私達を惑わせる為に使って来るか」
「そう、切り札はそうそうね」
「使わないことにですね」
「意義があるんだ」
「そうそう無闇に切り札を切ると」
「いざという時にその意味がなくなるんだよ」
伯爵はこれまでの人生経験から話すのだった、その通常の人間とは比較にならないまでに長く様々な場所を巡ってきたそれから。
「だからね」
「幻術ははここぞという時に、私達に対して使いますか」
向日葵も言うのだった。
「じゃあ何を見てもですね」
「惑わされたら駄目だよ、それにね」
「伯爵もおられるから」
「私が破るよ」
カリオストロ伯爵がその術を使ってきてもというのだ、幻術を。
「彼の幻術のことは知っているしね」
「だからですか」
「そう、もっとも新しい幻術を備えているかも知れない」
伯爵はその可能性についても話した。
「その場合もね」
「ありますか」
「けれど幻術の元は全部同じだからね」
だからだというのだ。
「それを破ることはするよ」
「絶対にですね」
「だから任せてね」
幻術のことはとだ、伯爵は少女達に対して約束した。そうした話をしつつだった。
少女達は先に進みながらも周囲を警戒していた、桜は周囲を注意して見回しつつだった、姉妹達に言った。
「どうやら」
「いないみたいね」
「はい、そうですね」
こう答えたのだった、菫にも
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