第五十四話 山師の館その五
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「流れ矢みたいなの来てもな」
「それは防げるよ」
「錬金術でかい?」
「いや、魔術でね」
防ぐ為の力はそれだというのだ。
「障壁を作るから」
「それで伯爵の身体はか」
「私自身が守るよ」
微笑んでだ、こう薊に言ったのだった。
「だから安心してくれ給え」
「それじゃあな」
薊は伯爵の言葉を受けて微笑んで頷いた、そうして。
少女達は門を開けて屋敷の敷地内に入った、庭は左右正対称であり奇麗に整えられている。草木は幾何学模様で切り揃えられていて。
季節の花もある、それは全てフランスを思わせる花だった。
その草や花を見つつだった、薊達は庭の中を進んでいた。その中でだった。
黒蘭、クラブやリボンといった新体操の道具を手にして構えている彼女がだ。その目を鋭くさせて姉妹達に言った。
「来たわよ」
「ああ、来たな」
「横からね」
「予想通りだな」
薊はやれやれといった顔で黒蘭に応えた。
「本当にな」
「そうよね」
「いい予想は当たらなくてもな」
それでもというのだ。
「悪い予想はな」
「当たるわね」
「本当にな、じゃあな」
「まずはね」
「ここでまた戦いだな」
バイクに乗っていた時と同じ様にというのだ。
「そうしてから屋敷の中か」
「そこに入ることになるわ」
「だよな、ただな」
「ただ。何かしら」
「いや、さっきの街道の時もだけれどな」
つまりバイクに乗っていたその時もというのだ。
「前に戦った怪人でさ」
「そして今もというのね」
「出て来る怪人は同じじゃねえのか?」
薊達が前に戦ったその怪人達ではないかというのだ。
「ここで戦うのもさ」
「そうみたいよ」
向日葵は弓矢を手にしている、その彼女がだ。
姿を現した怪人達を見てだ、こう答えたのだった。
「見たところね」
「ああ、どいつもこいつもな」
「前に戦った怪人達よ」
「そうだよな、再生怪人って訳か」
「わかりやすく言うとそうね」
「一回戦った相手ならな」
それならとだ、薊はその目に戦う心を宿らせた、そのうえで。
前に出て来た百足の怪人との闘いに入った、他の少女達もだった。
それぞれの闘いに入った、その中で。
伯爵は彼女達の闘いを見守った、逃げずに。
そして少女達が程なく庭にいた全ての怪人達を倒し終えたのを見てからだ、唇を噛み締めつつ言った。
「君達の戦いもね」
「これでか」
「終わらせないとね」
こう言ったのである。
「何としてもね」
「そう言ってくれるんだな」
「彼は私が止めるよ」
カリオストロ伯爵はというのだ。
「何としてもね」
「頼むな、あの人のことは」
「そうさせてもらうね、それと」
「それと?」
「どうも君達は」
薊達のことも言うのだ
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