第五十四話 山師の館その三
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「屋敷で決めましょう」
「ああ、何があってもな」
「カリオストロ伯爵」
菖蒲はクールな声で自分達を今まで狙っていたその彼の名前を出した。
「ここで終わらせたいわね」
「だよな、ただあの人も不老不死だよな」
「そう聞いてるわ」
「その伯爵を止めるのは」
「サン=ジェルマン伯爵よ」
前の彼の車を見ての言葉だ。
「そうなるわ」
「そうだよな、あの人が」
「私達ではないわ」
「そこはあの人に任せるしかないな」
「出来ることと出来ないことがありますね」
桜は戦いが終わった後でも穏やかな口調だった、礼儀正しさもまた。
「私達は私達の出来ることをする」
「そういうことだな」
「はい、私達の出来ないことは伯爵がしてくれますね」
「そうなるな」
「サン=ジェルマン伯爵、私達の親」
菫は伯爵のそのことに言及した。
「その伯爵が私達を助けてくれるのね」
「親だからか」
薊は自分が言ったその言葉に妙な親近感を感じてこの言葉を出した。
「あたし達を助けてくれるのか」
「そうした考えも出来るわね」
「親は子供を愛して守るもの」
薊は自然とこの言葉も出した。
「だからか」
「そうなるわね」
「私達も親になったら」
ここで言ったのは鈴蘭だった。
「伯爵みたいにするのかしら」
「そうかもな、あたしも子供が出来て」
薊は遥かな未来、自分が母親になる時のことも思った。
「子供の為に自分が出来ることをするのかね」
「そうなったらね」
「ああ、そうなったらな」
「本当にお母さんになったってことね」
「そうだよな」
「親」
黒蘭もこの存在について言及した。
「私達にはいないと思っていたけれどいたのね」
「そうだよな」
「伯爵、そして先輩のお祖父さんか」
「先輩のお祖父さんはもうおられないけれど」
それでもだった。
「伯爵はおられるわね」
「だよな、そのことは有り難いよな」
「ええ」
「じゃああたし達はその伯爵と一緒に」
「私達の戦いを終わらせに行きましょう」
「終わらせて」
そしてだった。
「後はね」
「あたし達のそれぞれの人生を歩こうな」
薊はバイクでその決戦の地に向かいながら仲間達、姉妹達と話していた。そうして山の中に築かれた道を進み。
遂にだ、そこに来たのだった。
そこは見事な、サン=ジェルマン伯爵のそれと同じ程素晴らしい屋敷だった。ロココ調の洋館である。その洋館を見てだった。
薊は目を数回瞬かせてからだ、バイクから降りヘルメットを脱ぎ。
車から出て来た伯爵にだ、こう言った。
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