第二百十三話 徳川の宴その三
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「開くとはのう」
「ですな、まさしくこれは」
「天下人の為されることじゃ」
「では上様は」
信長のことである、この呼び名が使われ出しているのだ。
「このまま」
「うむ、相当なことがない限りな」
「天下人になられますか」
「数年は戦をされぬが」
政に専念してだ。
「しかしじゃ」
「それでもですか」
「その政が整った後じゃ」
その時にというのだ。
「奥羽の残り、そして九州をな」
「攻めそして」
「一つにして」
「そして、ですな」
「天下統一ですな」
「そこからじゃ」
再びというのだ。信繁以外の家臣達にも答えるのだった。
「政に専念してな」
「天下の泰平と繁栄を」
「それをですな」
「為していく」
「そうなりますな」
「そうじゃ」
まさにというのだ。
「天下は間も無く泰平の世になる」
「それが待ち遠しいですな」
山縣も唸って言う。
「その時が」
「わしもじゃ、そしてこの宴はな」
「その前祝いでもありますな」
「そういうことじゃ」
こう話してだ、そしてだった。
信玄も己の家臣達と共に宴を楽しむのだった。それは謙信も同じで家臣達に微笑みを向けてこうしたことを言っていた。
「さて、これからは」
「はい、宴ですな」
「馳走に美酒を揃えた」
「まさに至高の」
「馳走も楽しみですが」
ここで謙信が最も求めているものはというと。
「酒です」
「殿がお好きな、ですな」
「酒ですな」
「それがですな」
「楽しみなのですな」
「はい」
その通りだというのだ。
「わたくしにしても」
「しかし殿、酒はです」
「あえて申し上げますが」
上杉の家臣達は謙信に懸念する顔で言うのだった。
「あまり過ぎてはです」
「よくありませぬ」
「殿が好きですが」
「それでもです」
こう言うのだ。
「ここはです」
「酒はです」
「あまり飲まれない様に」
「お願いします」
「いや、酒はです」
酒についてだけはだ、こう言う謙信だった。
「離れませぬ、ですから」
「それで、ですか」
「酒はですか」
「この度もですか」
「飲まれますか」
「存分に」
これだけはというのだ。
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