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戦国異伝
第二百十三話 徳川の宴その一

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                  第二百十三話  徳川の宴
 天下の主立った諸将、それに公卿の面々が安土に集まっていた。安土の者達は次から次にと来る天下の名の知れた者達を見て大いに驚いていた。
「何と、武田殿に上杉殿」
「二十四将、二十五将も皆いるぞ」
「真田幸村殿に直江兼続殿もじゃ」
「毛利殿、北条殿も主な一族、諸将を率いて来られておる」
「当然織田家の方々もな」
「伊達殿もじゃ」
 政宗もというのだ。
「家臣の方々と共に来られておる」
「しかも本願寺の顕如殿も来られておる」
「これは凄いぞ」
「まさに天下の宴が開かれるぞ」
「信長様は凄い方じゃ」
「そこまでの宴を開かれるとは」
「お見事じゃ」
 こう口々に言うのだった、安土は騒然となっていた。
 その彼等を城の天守閣の頂上から見てだ、信長は共にいる平手に言った。
「皆楽しみにしておるのう」
「民達もですな」
「うむ、この度の宴をな」
「その民達には」
「宴は直接関係ないがな」
「しかしちょっとした祭りになっていますな」
「ハレの時じゃ」 
 ここでこうも言った信長だった。
「安土の城がな。だからな」
「安土の町もですか」
「機嫌がよくなっている、それに人も多く来ておる」
 普段よりもだ。
「だから賑わっておるのじゃ」
「そういうことですな」
「もっともこれはな」
「これからはですな」
「この安土に諸藩の屋敷を置く」
 大名達のそれをだ。
「そのうえで武家の町とする」
「では人が増え」
「商いはより盛んになる」
「そういうことでありますな」
「そして大坂はな」
 この町はというと。
「城も置くが」
「それ以上に」
「商いで便宜を計らいな」
 そうしてというのだ。
「天下の台所とする」
「堺に神戸も傍に置いて」
「そうした町にする。江戸は東国の要じゃ」
「今はあちらにも城を築いていますが」
 それもかなり大きな城をだ、見事な天守も建てるつもりだ。
「あの地は東国の要ですか」
「そうする、あそこも人が増える」
「賑やかな町になりますか」
「東国一のな」
 江戸はそうなるというのだ、こう話してだった。
 信長はあらためてだ、平手にこう話した。
「そしてじゃが」
「はい、今の宴ですな」
「まずは当家が行う」
「山海の珍味をこれでもかと集めたそれを」
「そしてその後はじゃ」
「徳川殿の、ですな」
「天下に二つとない宴がじゃ」
 行われるというのだ。
「そちらも凄いものになるぞ」
「そうですか、しかし」
「しかしじゃな」
「それがしも徳川殿のことはあの方がご幼少の頃からご存知ですが」
 平手もこのことから言うのだった。
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