プロローグ:4人兄弟姉妹、☆空レストランへ行く
そもそも現状BADEND√
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とあたしの関係は、社会に出ると使う側と使われる側、雇用者と従業者という立場になる、けどそれは契約が成立してからの話。依頼する側とされた側。どちらが優位に立てるのかは言うまでもない。依頼しているのがお父さん側である以上、それを受けるも拒否するもあたしの匙加減ひとつで、お父さんは結果を待つことしかできないのだから。
「……本気でフリーになるつもりか?」
「だって現状、別にどこかに在籍してるわけじゃないし、今あたしがいるラインもあたしはメイン原画ってだけじゃん」
「それが不満か?」
トラウマもキツく植えつけられたし、一時的な老化現象と体調不良とそれに伴う体形変化も味わったけれど、少なくとも今までの仕事でお世話になった人たちとはいい関係を築けている自負はある。
「最悪、家を出ろと言われたら出てくよ。それに、現状で必要なら法的に強い人をつけてくれるっていうところもあるし」
学生の身においては厳しい家族からの追放も、あたしには大した障害にならない。
あたしが持っているスキルは一部業界から引く手数多で、多少職種を変えても潰しが効く。どれもその筋ひとつで生きてきた先達からすれば未熟すぎると謙遜抜きで自覚しているけれど、グラフィック、原画、スクリプト――UIやロゴや背景のデザインもできないこともない。今のところ高校卒業しても美大に進むつもりはないけれど、BGMと大まかなプログラムと時間さえもらえたら簡単なキャラ音声抜きのPC向け紙芝居は作れてしまうくらいのスキルがある。
だからこそ、今こうして売り時・売られ時を迎えているのと同時に、義務教育でなくなった以上留年や退学の不安がある高校生活も満喫するには、今までは目を瞑ってきたゆがみを是正せざるを得なくなったため、こうしてあたしは父娘の情を抜きにして、契約を間に挟んでお父さんと対峙した。
――そして、しばらくあたしとお父さんはそこから動かず、互いに押し黙っていた。
はっきり言って、あたしは現状に満足していない。満足したらクリエイターはそこで終わりだって、そう教えられてきた。アーティストやアスリート同様、そういうものだと。
お金や時間や待遇の問題もあるにはあるけれど、本質はそこじゃない。だからきっと、このままじゃ一生かかっても満足できない。ただ言われるままに線画を描いて、色を塗って、プログラム組むよりも、できることならもっとそれ以前の段階からあたしはモノを作りたい。
そのために、あたしは次のステージに行く。今までよりもっとちゃんとした立場から、ちゃんとした意見を、ちゃんとした場所で言えるように。今は知識も経験もないに等しいけど、年齢とか性別とか関係ないと説き伏せられるくらいに。
それが今のあたしがしたいことで、できること。
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