プロローグ:4人兄弟姉妹、☆空レストランへ行く
そもそも現状BADEND√
[6/9]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
ただ、残念なのはまだあたしが高校生活を楽しみたいから正社員にはなりたくないというその一方、あと3年もしたら――と思いつつも3年後まであたしの名前が残っているかどうかの保証もないのが流行り廃りのあるゲームや出版の業界というもの。
とはいえ、果てしなく闇は深い……とか悟ったフリして言ってみる。
「どこの誰からそんなこと吹聴されたんだ?」
「強いて言えば、いろんな人。クリエイターとしてのあたしと直接契約したいって言ってきた人たち」
お父さんの立場的にヤバいのでは、と思いつつも本来は社内秘にしておくような技術や資料も見てきたし、教えられてきた。出来る限り原画もグラフィックもスクリプトも、デバッグだってしてきた、社員でもないのに功労してきた。そんなあたしのメーカー脱退発言に、お父さんの口調もいつになく真剣なものになっていた。
今まであたしがこなしてきたほとんどの仕事はお父さんの斡旋か仲介があった。ergの原画も彩色も、雑誌の表紙やWeb小説の挿絵も、そこには必ず城壁のごとくお父さんが立ちはだかっていた。まあ、それはまだ中学生の娘を持つ父として心配したがゆえの行動だろうし、その親心に気づかないで『シンクロ』制作の契約を快諾しておよそ1年に渡る地獄を見た娘からすれば、今のお父さんの心情を量れなくもない。
――にしても。
エリュシオンさんの『シンクロ』プロデューサーにディテクター、白草社の編集部部長さんに『S.G.D.』の作者さんとかとか――編集部部長さん除いてみんな20代から40代の独身男性だったんだけど、肉食女子とか婚活女子どこ行った? いつも留守で、元気がいいかはわからないけどそれなりの亭主候補がごろごろ転がっていたんだけど?
あと「個人的にスポンサーになりたい」と言ってきた自称8ケタの貯金持ちのキモオタハゲピザ――いや、あたし的にキモいのもオタもハゲもピザも許容できなくもないけど、いっそスキンヘッドにしろよと言いたくなる中途半端に禿げた髪型とか、他人の前なのに拭いもしない脂汗とか、ヨレヨレのシャツin股のあたりにシミついたズボンとか、最低限の清潔感やその自覚がない人はもう生理的にも人間的にも無理だった。
うん。思い出すだけで吐き気が……。
「もちろん、年齢とかの理由であたしを正式採用するわけにもいかないのはわかってる。けれど、今までも十分あたしは多少の無茶にも応えてきたつもりだよ?」
「ああ、それはこっちもわかってる」
「ならさ――これ以上、感謝の念をもブチ壊すような依頼はしないでもらえるかな?」
あのキ――以下略――のせいもあって、気分も機嫌も悪くなったあたしはわざと冷たい声を使い、強気に出る。
家では父と娘であるお父さん
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ