プロローグ:4人兄弟姉妹、☆空レストランへ行く
そもそも現状BADEND√
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レクターなんていらないっての」
「いや、あの人の顔の広さは本当に必要なんだ」
「ぅあああぁ……」
もはや何と言っていいのか、言ったらいいのか――とにかく管理能力ゼロの管理職はどこの組織でも不要と明言したあたしは頭を抱えた。たぶん目の前に城戸さんがいたら右手に持った包丁を思い切りまな板に叩きつけてたか投げつけてたと思う。きっとそう。
他業種に効果覿面な顔の広さを称賛するより、複数の役職を兼務するのが平常運転なerg制作の場において制作進行管理できない無能ぶりのほうを追及すべきだと思うんだけど、あの人もあの人で仕事できるタイプの人間だ。唯一、スケジュール管理が結構苦手ってだけで。前職でバリバリ営業やってたらしく、交渉力は凄いと同業他社の人から聞いたことがある。現場に立つあたしにはわかんないけど。
今回のCG追加もきっとたまにある直感的行動が出たせいだ。けれどその直感が結果的に注目されたり、人気上昇の鍵になったりするもんだから、会社の人はお父さん含めあまり強く出れないのも理解できるってばできる。
とりあえず、耐熱皿に一口大に切った野菜を入れ、そこに適量の水を注いで電子レンジへ。あとは温めれば温野菜はできるから――と、回転しない頭脳の一部を切り離してあたしは着々とお父さんに出す料理を作っていく。
――そして、そこであたしはふとあることを考えつく。
と同時に、この仕事バカだけど家族想いな父親に軽い反逆を起こそうと思った。
「……お父さん」
「なんだ?」
「今、あたしの立場ってどうなってるっけ?」
「一応、急場の手伝いってことになってるけど」
「そう……」
急場の手伝いにしかすぎなかったグラフィッカーに、現在進行形でフルプライス一本分の原画描かせて、そのうえで別ラインの追加CGの塗りまで追加でやらせるとは――。
しかもそれらに特別手当などないにもかかわらず、それを別におかしいと思わなくなってしまっているあたしは、相変わらず自分に染みついてしまったブラック企業の社畜精神に辟易しながら、駒を進めていく。
「……条件付きならやってあげてもいいよ」
「条件? なんだ? 何かやってみたいことでもあるのか?」
あたしの策に気付かず、出す条件が今までと同じだと思っているお父さんはあたしの希望を尋ねてきた。
「別に今から新しい作業を覚える気はないよ。グラフィックも一通り教えてもらったし、原画家としてもスタートを切れたし、簡単なスクリプトやUIデザインもできるようになったし」
「うん、うん。お前は本当に飲み込みが早いからなぁ」
「だからね――」
お父さんの生きる業界は斜陽と言われて長いerg業界。その中でもお父さんの在籍するメーカー【Calm
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