プロローグ:4人兄弟姉妹、☆空レストランへ行く
そもそも現状BADEND√
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お母さんは【春日景大】というPNで活動する男性向け官能小説家。日常生活と性癖が破綻して倒錯していても、その作品の中身は水も漏らさぬほど緻密で、瞼の裏に光景を思い浮かべると匂いがしてきそうだと評された濃密かつ繊細な描写は熱心なファンから「芸術と呼んでもいい作品をありがとうございます」とファンレターが来るほどだ。
しかも普段は仕事したくない病を発症して、仕事場である離れか母屋のリビングのソファーで寝転がっているくせに、いざ仕事のスイッチが入ると寝食を忘れ、まるで何かが降臨したかのように鬼気迫った顔でPCに向かい続け、40時間ほどで文庫1冊分の文章を仕上げてしまう。しかも作業風景はあたしも同じらしい。嫌なところばかり似たもんだよほんと。
そしてこの声豚……じゃなくて、萌えぶ――でもないや。
とにかく、お兄ちゃんは創作活動こそしないけれど、一部の創作活動に必要なレコーディング作業に携わるスタジオレコーディングエンジニアで、その職を目指した理由が声優と会えるからという不純なものであることを除けば、同じスタジオに勤めるエンジニアさんたちからの受けもいいらしく、今みたいに声優以外のライブ映像を見て研究するほど日々切磋琢磨している。
「そこらへん、時間余るように調整してるんじゃないのか?」
「してますよー。あくまであたしのプライベートのために、ですけどね」
業界大手からの依頼に浮かれ、調子に乗ったがために起こしてしまった大失態を経て、少しばかり――数えきれないリテイクとかインセンティブとか大量消費した栄養ドリンクや精力剤と引き換えに失われた肌や髪のツヤとか――嫌な方向にオトナになったあたしは、自分の日常生活を疎かにしない程度に仕事をセーブする技術を身に着けた。
そして地獄を彷徨っている間に失った偏差値10相当の学力を――あと美容と健康も――取り戻したあたしは、気付けば滑り止めすらも危うかった状況から第一希望の進学先に無事合格し、日々これ以上は鍛えたくもない家事スキルを鍛えながら着実に4年制大学進学を視野に学生生活を楽しもうと考えているというのに、どうやらあたしをこの現状に至る過程に引きずり込んだ当の本人は、娘のプライベートよりも自分の仕事のほうが大事らしい。
「てかさ、ラインの管理責任者は?」
「城戸さん」
「ぅげ、あの人かぁー……」
――城戸さん。確か名前は義孝だっけか。
あたしにグラフィックを教えてくれたお父さんの会社の中でも古株で、お父さんの先輩にもあたり、四方八方にコネとツテを持つ顔の広い人だ。ただし役職は主に外部交渉やディレクターなので、現場(という名前の自室)に立つあたしが直接関わったことはあんまりない。
「てかさ、制作スケジュール管理できないディ
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