プロローグ:4人兄弟姉妹、☆空レストランへ行く
このJK妹、接待経験あり(する側とは言ってない)
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「うわー。さすがひと夏で一般人の平均年収くらい稼いでる人は違いますねー」
弟の優しさに感動するあたしへのあてつけとばかりに、これでもかというくらい棒読みしてくださりやがったお兄ちゃんには店に着いたら熱々のアガリをぶっかけてやろう。
あと、基本的に商業で活動しているあたしは同人でそこまで稼いだことはないぞ?
「てかおねーちゃん。いま“仕事”どこまで進んでんの?」
「どの“仕事”のこと言ってんの?」
助手席から顔だけを振り向かせて後部座席を覗き込んできた結月の質問が漠然としすぎて、あたしは尋ね返す。これでも現在進行形で4つの仕事のうち2つの納期遅れを抱えている身、どの仕事も状況がまったく違う。ついさっき納期遅れ1つ減らしたけどね。
「んーと、ゲームのほう。『シンクロ2』どんな感じ?」
「あー、『シンクロ』は完全に他言しちゃダメって言われてる。契約条項にもあるし」
『シンクロ2』――現状での名称は『Symphonic Chronicle 2(仮題)』。
あたしが抱えている仕事のひとつで、国内でも名の知れたゲームメーカー【エリュシオンソフトウェア】が結構な力と情熱を注いで制作・リリースされたオンライン対応型の純国産RPGのシリーズ2作目だ。そしてあたしにとっては、先方が「現在鋭意制作中(*注:メーカーオフィシャルHPから抜粋)」であるため、唯一納期遅れが断固許されない――社会的・常識的通念に照らし合わせるとそもそも双方の合意に基づいた納期の遅れ自体が許されないことだけど――仕事でもある。
なお「(仮題)」がついているのは、2作目だから「2」とかいう安易なネーミングにはしたくないかららしい。けどそれはあたしの業務内容の範疇外だ。知ったことじゃない。
前作『Symphonic Chronicle』が国内市場での年間売り上げ2位、全世界トータルでも8位になるヒットを飛ばしたために今回の続編制作となったものの、あたしは前作と同じく制作過程に関してはキャラデザとイベント原画のみ行い、グラフィックから先はメーカーにメーカーに在籍する本職グラフィッカー集団に丸投げできる。――若干、あたしの塗りとは違うから違和感を禁じ得ないけど、それはゲーム内の世界観とかとマッチさせるために必要なことだし、著作権などの管理はすべてエリュシオンソフトウェアに帰属・委任している。
学生との二足の草鞋を履く現状を鑑みれば、自ら積極的に名前を売り出したいとは思ってないけど、スマッシュヒットを飛ばした前作からの起用となればあたしにとってもゲームメーカーにとってもプラスに働くし、お互いの持つネームバリューはよりよいブランドになる。
しかも今回の制作参加はあたしにとってもいいリベンジの機会だった。
前作の制作参加
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