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竜門珠希は『普通』になれない
プロローグ:4人兄弟姉妹、☆空レストランへ行く
このJK妹、接待経験あり(する側とは言ってない)
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お》に姉の機嫌を損ねない返事をしてきた。
 ……あ、言っておくけどあたしはブラコンじゃないよ?(震え声)


「あ、俺は別に何でもいいよー」
「あたしも別にー」

 ……よし。夕食は「別に何でもいい」らしいこの愚兄と愚妹には、あたしが二人それぞれに食わず嫌い治療用特製メニューを用意してやろうじゃないか。そしておとなしく○んでしまえ。
 家事全般を一手に担う人間を敵に回すとどうなるか、何度味わってもわからないようだねこの兄妹オタどもは。

 とはいえ、今からスーパー寄って食材買って家帰って作るのも面倒臭いし、あたし含めて家族6人みんなそれぞれ好き嫌いがあるから安牌なメニューばかりってのも単調だし、それに何より、準備して作って洗って片づける一連のそれをほぼあたしが一人でやんなきゃいけないのが――ねえ?


 とはいえ夕食どうしよっかなー、と考えつつ窓の外を見ると、某回転寿司チェーン店の看板があたしの目に入った。

 お寿司かー。
 最近なんだかんだ面倒だからって魚料理作ってないなぁ。魚屋さんから蛍烏賊オススメされても捌くのが面倒で(捌けないとは言ってない)遠慮してたし、鰆の西京焼とか焼けば焼いたで後片付け面倒だし(作れないとは言ってない)――最近作った料理を思い返し、あたしは栄養バランスを考え(建前)、4人兄弟姉妹で唯一の社会人の財布の中身を全力で狙う(本音)ことにした。


「……じゃあ夕食作るのメンドいからこのまま『すき○ばし次郎』行こう。お兄ちゃんの全奢りで」
「ちょ、待て……」
「ほんとっ!? 奢ってくれんのアキ兄?」
「ちょい待てぇぃっ!!」
「何よお兄ちゃん。別に何でもいいんじゃないの?」
「いやいやいやいや……。お前さぁ、その店のステータスわかって言ってる?」

 あたしが挙げた店の名前に猛然とストップをかけてくるお兄ちゃん。
 結月は奢りという言葉に反応しただけみたいだけど、どうやら兄弟姉妹4人の中で唯一の社会人はその店の名前と格を知っているらしい。

「わかってるよー。サブカル系ナメんなよ?」

 あたしもあたしでいろいろと学校以外の交友関係があるんだし、グルメサイトくらい見るっつーの。
 すると、あたしたちの話の内容を訝しんだ聖斗が疑問を投げかけてきた。

「姉ちゃん。その店どんな店なんだよ? 兄貴の動揺っぷりがハンパないし」

 確かに聖斗の言うとおり、いつもの間延びした口調がまったくなくなっている。
 お兄ちゃんのキャラ消滅の危機だね、これは。

「んーと……、あ! まー兄出たよ。ミシュ○ン2015三ツ星のお寿司屋だって」
「へぇ。それは凄ぇな」
「えっと……あと、海外の要人とかハリウッド俳優とかも来たことあるんだってさ」
「ふーん。結構な店なんだな」

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