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ファイナルファンタジーT
33話 『交錯する想い』
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な映像がよぎり、思わず目眩がして前のめりそうになった。

「ビル、大丈夫? ごめん、おかしな事云っちゃったかな」

「い、いえっ、そんな事ないでス。見た事、あるような気がしまスけど、よく思い出せなくて……すみませんでス」

「謝る事ないよ、可能性があるって分かっただけでも───」



「あ、えっと……イングズ?」

「 ───ん? あぁ、君は……シファだったか」

 宴の席から外れて木の幹に立ったまま背をもたれ掛け腕を組んでいた青年に躊躇いがちに声を掛け歩み寄るシファ。

「さっきまで皆の前で竪琴を奏でて歌ってたの、聞き惚れちゃいました。吟遊詩人でもあったなんて、すごいなぁ」

「まぁ、これはひとえにジョブの力であって……それより、何か用か?」

「えっと、確か聞きそびれてたと思うんだけど……あなた達は、どこから来たの?」

「それは────秘密、という事にしておいてくれないか」

「え? あ、うん……。通りすがりの、旅人みたいなものって云ってたけど、何の目的で旅してるかとかも聞いちゃいけない、かな」

「目的は……そうだな、還るべき場所を探している」

「還るべき、場所……?」

「あぁ、……何故だか還り方が判らなくてな」

「それって、記憶を失くしてるって事?」

「いや、そういう訳じゃない。どういう訳か、全く見知らぬ場所に来てしまったようで途方に暮れていた所、とりあえず近くの村か町に寄って考えをまとめようとしたら……このオンラクという町が、海魔に度々襲われていると知り手助けをしていたんだ」

「そう、なんだ……。わたし達の場合は、どこの出身なのか記憶が失くて……でも、役目を与えられて────4人で、旅をしている途中なの。今は1人、欠けちゃってるけどきっと、戻って来てくれるはずだから」

「そうか。……仲間と無事、再会できるといいな」

「うん、あなた達も還るべき場所が見つかるといいね」



「 ────波止場で1人黄昏ちゃって、どうしたの?」

「せっかくの宴会なんだし、みんなと楽しまないともったいないぜ〜!」

 1人波止場の先端に座り込み、穏やかな夜の海の水平線を眺めていたランクにレフィアとルーネスの二人が、後ろから声を掛けて来た。

「……うるせーな、用が無くなった町のヤツらと馴れ合う気ねェよ。明日になりゃ出てくンだしな」

「あなたってぶっきらぼうねぇ。……ちょっと聞いておきたいんだけど、あなた達のもう1人の仲間ってどんな人?」

「あ、そういや何でか知んないけど今は離れてるんだってな? 今のレフィアと同じ、赤魔だとか云ってなかったっけ??」

 興味を抱いているらしいレフィアとルーネスに、ランクは少し間を置いて答える。


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