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【銀桜】7.陰陽師篇
第6話「天魔外道ニモ負ケズ」
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兄妹揃ってなんというアホ面だ。滑稽だぞ」
「貴様の頬の落書きもダサすぎて滑稽だぞ」
 腹黒い笑みを浮かべる双葉に横から毒つかれた道満はムッと額に血管を浮き彫りさせる。
「落書きではない!これは――」
「ところでシスコン」
「無視するなァァァ」
 自分で仕掛けておきながら、双葉は喚く道満をほっといて晴明に向き直る。
「先ほどから兄者の姿が見えないが」
「あの男なら今わしの式神たちの治療を受けておる」
 そう晴明が目を向ける方には、狐耳と尻尾を生やした式神と外道丸に囲まれて完全にのびている銀時がいた。
「道満の策略にはまりタマがとれてしまってな。すまない。わしが不甲斐ないばかりに」
 晴明に謝られる双葉だが、『策略』という単語にSの血が反応して一体どんなものだったのかと、銀時よりそっちの方が気になっていた。つい聞きたくなったものの、ここは場をわきまえて後回しにすることにした。失礼なんだか常識があるんだかよくわからない双葉の思考である。
 そんな腹黒いことを考えてるなど知らない晴明は、申し訳なさそうに言う。
「男としてタマがなくなった傷は深かろう。無事に治っても奴は立ち直れるだろうか」
「本当にお主は『見る』だけしかできないようだな。人を元気づける(すべ)も知らんのか」
「返す言葉もない……」
 僅かに肩を落とす晴明に双葉は一つのアドバイスを送る。
 ただ、その表情はとてもつまらなそうだが。
「ま、兄者ならお主の妹が嫁にくれば元気百倍ギンタマンになるんじゃないか」
「それとこれとは話が別じゃ。心意気は認めるが、あのような男にクリステルを嫁にはやれん。ぬしとクリステルとの相性の問題もあるのだぞ」
「安心しろ。私はお主の妹を『義姉(あね)』と呼びとことん慕ってやる。まずは味噌汁の味から伺おうか」
「それいびる気満々だろ!」
 晴明のツッコミに双葉は不敵な笑みを返し、倒れた銀時のもとへ足を運んだ。


 治療が終わったのか狐耳の式神は消え、立ち上がった外道丸はゆっくりと双葉を見る。
「一度は潰れてしまいやしたが、銀時様のタマはもう大丈夫でござんすよ」
「そうか。苦労をかけたな、式神」
「命令でござんすから」
 無表情に告げ、そしてすれ違いざまに双葉にしか聞こえない声で外道丸は言う。
「せっかくクリステル様を巻きこまないようにしてたのに、とんだ事をしてくれたでござんすね」
 表面上は淡々としてるが、その声には明らかに怒りがあった。外道丸から警告を受けていたのにも関わらず、本人を引っ張り出してきた双葉はここで撲殺されてもおかしくない。
 だが双葉はそれでも自分の意見を押し通す。
「何も知らないのは幸せなことだが、逃げているのと同じだ」
「それはあなたの勝手な道理。それをクリステル様に押しつけないで欲しいで
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