第6話「天魔外道ニモ負ケズ」
[2/7]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
26801>
目の前にそびえる強く勇ましい笑顔。
それはいつもテレビに映る優しいのとはまた別の、誇り高き妹の笑顔。人生の中で何よりも驚嘆に値するものであった。
しばし呆気にとられる晴明を置いて、結野アナは同じく術者服の双葉と共に式神タッグバトルの出場申請をする。
しかし審判は頷かない。
「メンバー以外の参加はルール違反です。あなた達に参加権はありません」
「いいや、よかろう」
許可を出したのは敵であるはずの巳厘野道満だった。むしろ彼はそれを待っていたかのような見下した笑みを浮かべて言う。
「クリステル。望み通り長きに相反してきた結野衆もろとも我が手で貴様を潰してやる」
「望むところです」
「さぁ、延長戦を始めよう!」
まさしく悪代官の表情に染まってる道満。
いさぎよい闘志の笑みを浮かべる結野アナ。
そして高らかに武闘の宴を宣言する双葉だが――
「ま、待て!」
未だこの状況を許してない晴明が止めに入る。
「クリステル何を血迷った!?お前が血の雨を流す必要はない。わしは知っている。罵声を浴びても缶を投げられてもお前は耐え抜いて、お天気アナとして笑顔をふるまい予報を伝えてきた。そうして戦ってきたではないか」
道満からの誘いにのって戦いを挑んだのは、妹をもうこれ以上苦しませないためだ。
なのにクリステルは今ここにいて、しかも直接戦おうとしている。
そんなのは絶対に止めたいと反対する。だが結野アナは凛とした表情で答えを返した。
「兄様、私がお天気アナを務めてきたのは市井の人々に笑顔でいて欲しかったからです。でも気づいたんです。いくら笑顔で予報を伝えても、ハズレれば私一人笑うだけで終わってしまいます」
みんなを笑顔にさせたくてお天気予報をしていた。
けれどあの窓ガラスに映ったのはヘツらった笑みだけ。
その時初めて気づいた。
自分だけしか笑ってなかったことに。
「笑っているだけでは何も変わりません。江戸にかかる雨雲を晴らさない限り、この雨はやみません。血の雨を流す暗雲がありましたらこの手で払いのければいいだけです」
力強く拳を握り、晴明を見据える。
「もう兄様だけ戦わせませんよ。私も共に戦います」
決して逃げない怯まない揺るがない瞳と強さに溢れた笑み。
目の前のクリステルの決意は本物だと悟った。
――これほどまでに強いものであったとは。
――……どうやらわしは真の術者を見落としていたようだ。
心にあった迷いに踏ん切りをつけて、晴明は再び道満に向き直る。
「道満、わしらはもう逃げも隠れもせぬ。全力でかかってこい」
結野アナと共に闘志の表情を燃やす。
それを受けた道満もまた侮蔑の笑みを浮かべながら二人を見つめ直す。
「言われなくともそのつもりだ。しかし
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ