14話 「その日、運命が動いて」
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よ!」
「ブラッドリーは……魔物を惨殺することに快楽を覚えた戦闘狂なのです」
このリメインズでも最も命知らずで、最も強く、そして誰よりも異常な男。
名前の由来は血そのものの擬人化。故に血染めの男。彼にあだ名をつけた男はなかなかの皮肉屋に違いない。尤も、本当の皮肉は『本人がそれを自分の名前として使い始めた』ことだろうが。
「リメインズに潜るのは魔物を殺したいから。ただそれだけの理由で、彼は20年も死と隣り合わせのリメインズで最前線に立ち続けています。遠出から戻って来ればその身体はいつも返り血で真赤に染まっている。……そんな男を誰がお勧めできますか?残念ですが彼の話はここまでです」
あの男は危険で、屑だ。さっさと死んでしまえばいいと今でも思っている。
ベネッタは、幼い頃に初めてブラッドを見たその日から、ずっとそう思っている。
だからこれ以上あの男の事を考えたくもなかった。
しかし、その想いはカナリアには届かなかった。
「でもー……聞いた限りでは審査会からの仕事をこなす優等生で、正規かつフリーのマーセナリーで、しかも腕が立つみたいじゃないですか?それくらいのベテランさんならひょっとして携行大砲を見ても逃げないかも!!くぅぅ〜〜!これは最後の最後にビッグチャンスですよぉぉ〜〜〜!?」
(ああ……駄目だこれは。完全にブラッドリーとの仲介を頼む気だ……)
そう、ついつい忘れがちになるが……このカナリアという女も一般人と比べると十分にハジケた思考の持ち主なのだ。そうでなければとっくの昔にきちんとしたパートナーなりチームメイトなり出来ている筈である。
散々聞かせた危険や血染めというワードにむしろ期待を膨らませる彼女の楽しそうな姿に、ベネッタは嘆息する他なかった。
だが、とベネッタは考える。
ブラッドリーの隣をついて行けるマーセナリーなどいない。まして彼の手綱をカナリアが引くなどそれこそ不可能に違いない。これで無理ならば今度こそカナリアはマーセナリーの道を諦める切っ掛けになるかもしれない。
ならば、それを利用させてもらおう。仕事はこなす男だから、最悪リメインズに出ることになっても命は守ってくれる。但し、心の方は期待できないが。
(精々貴方の最低最悪な所を見せびらかして頂戴ね、ブラッドリー・ブラッド………死にたがりの屑)
そう内心で呟き、ベネッタは狡い打算するを自分こそ真に浅ましいのかもしれない、と自嘲した。
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