暁 〜小説投稿サイト〜
リメインズ -Remains-
14話 「その日、運命が動いて」
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ものであっても契約として書面の手続きが必要になる。長期契約ともなると、登録も解約も内容が複雑になり、容易ではなくなる。故にどのマーセナリーも大抵はパートナー選びに慎重だ。苦労して引き入れたのにチームとかみ合わなかったら、スカウトの苦労と解除の苦労で二重苦を味わう羽目に陥る。

 これ以上、他に仕事を受けてくれる可能性のあるマーセナリーは――と思案して、ふと一人の男の影が頭をよぎった。審査会には基本的に従順で、実力を買われて教官紛いの仕事を任されることもあり、このリメインズで最古参のフリーランス。

「でも長期契約は絶対無理よね。あのブラッドリーに限って――」
「誰ですか?そのブラッドリーって?」
「え――っと、まぁフリーのマーセナリーよ。臨時チームの結成や助っ人で臨時タッグを結成することはあるけど、それだけよ。それより次に紹介する人を探しにいかないと……」
「それでそれで?ブラッドリーってどんな人なんですか?何でフリーなのに私に紹介してくれないんですか?わたし、ちょっと暗い問題物件でも構いませんよ?」

 やばっ、とベネッタは己の失態に顔を顰めた。カナリアはうっかり話に挙げてしまった謎の男ブラッドリーに興味津々らしい。彼女のタッグ捜索にも執念染みたものを感じるし、これは退いてくれそうにない。
 だがあれはタッグを組もうとしないだろうし、正直に言えば組んで欲しくもない。
 これは彼女の為でもある。続く見込みのないコンビなど仲介する意味はない。
 諦めなさいカナリア。その男に近づいてはいけません。

「言っておきますけど、ブラッドリーと組もうなんて馬鹿なことは考えないでくださいね。あの男はマーセナリーでも一等まともでない存在です。リメインズのダーティ・オブ・ダーティです。屑の中の屑な人でなしのファッキンシットです」
「えー……でもベネッタさんがこのタイミングで名前出したってことは審査会としての信用はあるってことですよねぇ?……なーんか隠してませんかぁ?」
「うっ……」

 流石はロリの癖に御年72歳。こういう時だけ勘が鋭い。
 確かに彼女の言葉は正しい。ブラッドリーは審査会からの勧告の一部を無視しているため、その埋め合わせのために積極的に厄介な仕事を片付けてくれる。仕事達成度は100%に近く、しかも常に無事に帰ってくるため負傷手当を払わなくて済むということで、審査会の中では仕事に対する評価が高い。

 が、彼は先も言った通り長期契約を行わない。それは周囲がブラッドリーという男について行けないからであり、彼自身タッグやチームをしがらみだと感じているからに他ならない。

「………ブラッドリーという男は確かに仕事を確実にこなしますし、審査会からの評価も高いです。でも、駄目です」
「だからどうしてですか?訳を言ってください
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