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リメインズ -Remains-
14話 「その日、運命が動いて」
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「……やはり今回も駄目でしたか、カナリアさん。もうこれは貴方がマーセナリーに向いていないと考える他ありません。もう諦めてもよいのでは?技術者としての働き口はあるでしょう?」

 パートナー仲介を担当していたベネッタは率直な話を切り出した。
 そんなこと分かってる、と怒鳴りかけた心を落ち着かせる。
 カナリアには「ここ」しかない。ここ以外では意味がないのだ。
 カウンターが高すぎるから木箱を台座代わりにしているちびカナリアは精一杯に身を乗り出した。

「向いてなくてもやりたいんです。お願いしますベネッタさん!!これで駄目ならもう仲介のお願いはすっぱり諦めますから!!」

 審査会窓口のカウンターに勢いよく頭をゴツンッ!!と叩きつけて頭を下げる。
 頭蓋骨が叩きつけられた鈍い音に、ベネッタの顔が引きつる。
 ……これで駄目なら一人で続ける、と言えば止められることは分かっているので敢えて隠した。
 不退転とばかりにカウンターに頭を叩きつけたままのカナリアに、ベネッタも困り果てたようにどうしたものかと思案を巡らせていた。

 日常的に面倒極まりない屑どもの相手をしなければいけないベネッタは基本的に他人に素っ気ない。だがそんな彼女も流石に相手が子供の姿をしていると素っ気ない対応は躊躇われ、結局世話を焼いてしまっている。本当は情が移ってしまうのでやるべきではないのだが、一生懸命な彼女の力になってやりたいのもまた事実だった。
 
「………これで最後ですよ?これ以上は私も付き合いませんからね?」
「あ……ありがとうございます!!次こそは、次こそは必ずモノにしますから!!」

 がばりと顔を上げたカナリアの目は純朴そうな感じでキラキラと輝いている。

 が、さっきヘッドバットをかましたカウンターはカナリアのおでこ形のクレータを形成してしまっている。芸術的な曲線を描いた陥没痕を見るに、もしベネッタがカナリアの本気頭突きを喰らったら多分首の骨が折れるだろう。
 とんでもない石頭ね、とベネッタは頭を抱えた。硬いだけの石頭ならともかく、彼女は今まで何度退職を奨めても頑なに断ってきたというガンコな側面もあり、まさに二重の石頭。これからカウンターの修理を頼まなければいけないと思うと頭が痛くなる。

 しかし、とベネッタは頭を仕事に切り替える。

(彼女を任せられるほど組織の信頼度が高いマーセナリーなんて……これ以上は契約関係上難しいわ。どうしたものかしら?)

 今までは一人くらいならと余裕のあるマーセナリーを選出してきたが、もう限界だろう。
カナリアには、既にこれまで破格の好待遇と言っても過言ではない条件を回してきたのだ。しかし彼女はものの見事にすべて失敗した。

 マーセナリーのコンビやチームは例え一時的な
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