SS:病、薬、そして異邦人
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る時は母国戸籍か推薦状が必要となる。
男性はそのどちらも持っていなかった。要するに、藪医者である。
そしてそんな藪医者を名医にしてこの町の救世主にのし上げた神の如きアイテムこそ、彼の弄る薄い板なのだ。
彼は不意にその板の表面を指で押す。すると、板は光り輝いて不思議な模様を発した。
その模様を触り、指を動かした彼はその板を操作して"あること"をした。
しばらくの間をおいて、突然部屋に何者かの声が響いた。
『おかけになった電話番号は、現在使用されておりません。番号に間違いがなかったかを入念に確認し、もう一度かけ直してください。繰り返します。おかけになった電話番号は………』
「……………俺の生命線なのはいいんだけどさぁ。なんでこの世界の教養とか病気や薬の調合方が調べられる癖に、俺の居た世界に電話はかけられないのかねぇ?調べられるってことはどっかにネットワークあるんだろ?現に俺は現代日本の厳しい荒波に激しく間違った方向へ飛ばされてこんな異世界に来てる訳だし………あーあ、考えても仕方ないか。コメと味噌汁が恋しいなー………」
その男――新樹咲真は、彼の居た世界で「スマートフォン」と呼ばれる板を前にがっくり項垂れた。
彼がこの世界に訪れて約半年が過ぎた日の出来事であった。
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