32話:零崎舞織の人間交流V
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杉村弘樹と共に逃げていた無桐伊織はエリアの境目まで来ていた。森だったフィールドは途切れ、アスファルトで舗装された街のようなエリアの入り口だ。
「服部さん、大丈夫ですかね?」
「‥‥」
杉村の表情は固い。
やはり服部を助けに行きたい気持ちが強いのだろう。
「駄目ですよ杉村さん。ちゃんと最初に決めたとおり、三十分待っても来なかったら街の方に逃げるんです」
それを察した伊織は杉村に釘を刺す。
「‥‥わかってます」
渋々、だがきちんと理解した様子で承諾する杉村。
彼も殺し合いを経験した人間だ。自分の身を守る事が第一だということは見に染みてわかっているし、下手な行動を一度でも取ってしまったらそれが死に繋がることも身をもって知っている。
あの刀を使っていた女は、相馬光子よりも、もしかしたら桐山和雄よりも恐ろしい存在なのかも知れない。
「あと、二分か‥‥」
あと二分。
その間に服部平次が現れなければ、伊織と杉村はこの場から去る。
それは事実上、服部を見捨てるに等しい。
杉村の不安は、服部が一分後に息を切らして森から出てくるまで続いた。
「服部さん! 無事だったんですね!」
「ああ。すまんな心配かけて」
笑って見せるが、伊織にも杉村にも服部が疲れきっていて余裕が無いことがわかった。
「ほんじゃ、さっさと行くで。あのおっかない姉ちゃんが追いかけて来るかもしれんしの」
しかし、服部はそれを見せようとせずに二人を積極的に率いる。
二人はそんな服部を見て、何も言わずに着いていくのだった。
◆
零崎双識と白純里緒の戦闘はまだ続いていた。
幾つものエリアを跨ぎ、幾度となく攻撃を繰り返し、幾度となく離脱しようとしたのだが。
「くっそぉ! しつこいな‥‥!」
接近して斬りつけてきた白純のエリミネイター00を払い、蹴りを入れて身体をぶっ飛ばす。白純は背を壁に勢いよくぶつけたが、すぐに立ち上がって再度双識に襲い掛かる。
「くそ! こっちは早く美琴ちゃんや子荻ちゃんや伊織ちゃんに会いたいのに!」
思わず人が聞いたら白純を応援したくなるような事を口に出す双識。
相手が正気ではないことは最初に襲われた時に気付いていたが、だからと言ってここまで戦闘スキルが高いとも思わなかったし何より何発もまともに喰らって立っていられる耐久力を持っているとも思わなかった。
おそらく首を切断するなどしない限りどこまでも追いかけて来るだろう。
「自殺志願《マインドレンデル》がない方が強いというのは、場合によってかもしれないな」
長い時間走り、長い時間戦い、流石に疲れが出てきた双識は弱音を吐いた。
そしてデイパックから手斧を取り出す。
支給品の一つだ。
後ろを振り返ると同時に、思いっ
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