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32話:零崎舞織の人間交流V
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般人だな、と。
 彼は白純を後ろから攻撃したとき、刃ではなく峰で叩いた。つまり、どう見ても殺し合いに乗っていた白純も殺す気がなかった、ということになる。
 だから白純にとどめを刺すときに伊織のショートソードを使わずに心臓を踏んで止めたのだ。一般人には気絶させたようにしか見えないだろう。
 とはいえ、伊織をここまで守ってくれたのは感謝しているし、白純の凶刃から逃れられたのも服部のお陰である。
「文句なしの合格、だな」
 その言葉の意味がわからずキョトンとする服部に双識は何でもないと言う。
「そういえば、君の名前は聞いてなかったね。妹を守ってくれてありがとう」
「気にせんでええよ。ワイは服部平次。あと一人杉村っちゅう坊主がいるんやが―――」
 そこで服部が気付いた。
 杉村弘樹はどうしたのだ。
 もう戦闘は終わったのに、なぜ出てこない。
「服部さん! 後ろ!」
 考え始めてしまった服部は、それを避けきることが出来なかった。
 心臓が再び動き出した白純里緒が、爪や歯で拘束を破り、一番近くに立っていた服部に襲い掛かったのだ。
 伊織の声に思わず振り向いて、白純に気付き慌てて回避行動をとるも、間に合わなかった。
 白純の爪が服部の脇腹を裂き、赤い血が飛び散った。
「平次君!」
 双識が強烈な蹴りで白純を蹴飛ばすと、白純の身体はあっさりと地面に転がる。
 白純は起き上がると同時に、飛び上がって逃げ出した。
 双識は追いかけようか一瞬迷い、止める。伊織と合流した今は白純に構う理由も暇もない。
「服部さん!」
「来るな! 今すぐおっさんと逃げるんや!」
 駆け寄った伊織を服部は手で制す。
 戸惑う伊織をよそに服部は続ける。
「それと、杉村は多分―――」
 言いかけたところで、辺りにガキンという金属音が響く。
「言うとおりにしよう伊織ちゃん。確かに相手が少々ヤバい」
 見ると、エリミネイター00を構えた双識が白目を赤く染め、包丁を手にした杉村弘樹と睨み合っていた。
 両者の刃物は、刀身をぶつけ合っている。
「まさ、か―――」
 その杉村の目に見覚えのある伊織は、つい先程のことを思い出す。
 そこに靴音が響く。
 伊織が顔を上げると、やはり、罪歌を構えた桂言葉がそこにいた。
「二人とも逃げるんや。ここはワイが何とかするわ。さっきやられた傷が思ったより深いんや。ワイはどのみち逃げることが出来ん」
 それを見て、少し戸惑った伊織だが、すぐにはいと返事をした。
「双識さん、逃げましょう!」
 双識は頷き、杉村を蹴り飛ばすと服部に向き直り、
「すまない、平次くん」
 と、心底申し訳なさそうな表情をしながら言った後に伊織と共に逃げていった。
 それを確認した服部は脇腹の傷から血を流しながらガンツソードを掴み、杉
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