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32話:零崎舞織の人間交流V
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呻き声をあげながらも双識はその長い脚で白純の腹部を蹴飛ばす。
 エリミネイター00は双識の腕に刺さったままだ。
 白純の得物を奪った。
 双識は左手で右腕に刺さったエリミネイター00を抜き、白純に刃先を向ける。
「もう終わりにしよう!」
 そう叫んだのは白純に逃げるように言うためではない。文字通り、白純を殺して終わらせるという意味だ。
 だが、白純にはまだ武器が残されていた。
 右腕を振るい、その指先を双識の顔に向かって伸ばす。
 顔をのけ反らせて避けた双識の額に、赤い傷が刻まれた。
「こいつ、爪で‥‥!!?」
 言って双識は思い出す。
 こいつ、歯で手斧を受け止めてたよな、と。
 予想通り、今度は双識の首を目掛けて大きく口を開けて飛び掛かってきた。顔にも何度も打撃を与えて歯も何本か折ったはずなのに、口の中には鋭い歯が一本も欠けずに生え揃っていた。
(化け物め‥‥!)
 バックステップで回避を試みるが、間に合わない―――。
 そして、一瞬の後。
 アスファルトに倒れ付していたのは白純里緒だった。

「大丈夫かいな! おっさん!」

 服部平次が、白純の背後に回って支給品のガンツソードの峰で白純を殴ったのだ。
「私は、おっさんではない――――!」
 返事を返す双識は倒れた白純の心臓目掛けて、勢いよく踵を落とした。
 渾身の一撃を叩き込まれた白純の心臓は、停止した。
 ふぅ、と一息ついてその場に座り込んだ双識に伊織と服部が駆け寄る。
「やあ伊織ちゃん。ようやく感動的な兄妹の再開を祝えそうだよ」
「いや、その前に何処かで休みましょう」
「そうだね。出来れば伊織ちゃんに包帯巻いてもらったり伊織ちゃんにあーんしてもらったり伊織ちゃんにナース服着てもらったりしたいな」
「こんなところにナース服なんかあるわけないでしょう」
 やはり双識だ。
 本物だ。
 と、こんなことで実感してしまう伊織。
 しかし変だ。この双識が確かに本物であることが間違いないのだが。
 どうも、一度死んで生き返った人間には見えないのだ。
 もしも目の前の双識が伊織と人識の前で死んだ零崎双識ならば、自分の欲望全開な要求よりも自分が死んだあと伊織や人識がどうなったかの方を気にするはずなのだ。
「あの―――」
 と、伊織が疑問を口にしようとしたところで、服部が二人を呼んだ。
「おっさん、とりあえずあいつは服破って縄代わりにして縛っておいたで」
 あとこれ使うならやるわ、と言って白純の持っていたエリミネイター00を差し出してきた。
「わかった。ありがたく貰うとしよう」
 あと私はおっさんではない、と付け加えながら双識は考えていた。
 この少年はやはり殺し合いには乗っていない。そして人を殺す気もない。
 結構腕は立つようだが一
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