32話:零崎舞織の人間交流V
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きりそれを投げた。
回転しながら手斧は真っ直ぐ白純の首に向かって飛んでいく。
白純が手斧の存在に気付いたときにはもう、それは目の前まで迫っていた。
◆
服部と共に隠れる場所を探していた伊織は何か、大きな肉が固いものにぶつかったような音を聞いた。
杉村も服部もそれを聞き、警戒して身を固くする。
「どこかで、戦闘が起きているようですね」
「せやな。巻き込まれないよう早めに行かんとヤバイで」
服部も杉村も伊織も、同時に近くの隠れられそうな場所を見つけて身を潜める。
服部は民家の家の庭に入り、塀に身を隠す。
杉村は裏路地に入って外の様子を見つつ隠れている。
伊織は服部のいる庭に生えている木に登った。この位置なら服部に何かあってもすぐに援護できると思ったのだ。
しかし、伊織にとって悪かったこと―――いや、良かったことかもしれない―――は。
戦闘を行っていると思われるうちの一人が、死んだはずの大切な家族だったことだろう。
◆
(まさか、手斧を歯で受け止めるとはな‥‥)
殺人鬼と人食鬼の追いかけっこはまだ続いていた。
まさに万事休すの状況だったその時、追いかけて来る白純里緒を振り切ろうとしていた零崎双識は、急に近くに家族がいると感じた。
(アスか? それともトキか? はたまた人識君か?)
幸運だ、と双識は思う。
家族が近くにいるなら、協力して白純里緒を殺害にまで追い込めると思ったのだ。
(もしトキだったらとどめは私が刺さなければならないし、楽器を取り上げられているかもしれないがそれでも戦力は殺し名二人になる。二対一なら負ける道理はない!)
家族の気配が近くなる。
双識から前方二メートルの民家にいる。
向こうも気付いたようで、木から顔を出した。
「伊織‥‥ちゃん?」
一方の伊織も、やはり家族の気配に気付いて思わず木から乗り出した。
「双識、さん‥‥?」
なんで、と言おうとしたところで双識の背後に迫る人食鬼が目に入った。
とっさに伊織の体が動き、ショートソードを抜いて飛び掛かっていた。
長身の双識を飛び越えて、ショートソードの刃を真っ直ぐに突き立てる。
そのままいけばショートソードの切っ先は白純の顔面に突き刺さるはずだったが、白純は突然の襲撃に反応し、後ろに下がった。
結果、ショートソードは僅かに白純の顔を傷付けるだけにとどまった。
そして伊織が着地した途端に、白純は上からエリミネイター00を振り下ろす。
「伊織ちゃん!」
それを見た双識が長い腕で伊織を突き飛ばし、白純の凶刃から庇う。
だが代わりに、白純の持つエリミネイター00は双識の腕に深く突き刺さった。
「ぐ、ああ‥‥!!」
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