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或る短かな後日談
後日談の幕開け
四 幕開け
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硬いその床が剥がれ砕け宙に浮き。飛び回る虫達が逃げる間も無く崩れていく。渦を成した破壊の力は、まるで目には見えない巨大な怪物が暴れまわるかのように。全て、全てを打ち砕いていって。

 思わず身を守ったソロリティの腕や足、腹が抉られ、頭から軍帽、彼女にとっての過去の手がかり、その一つであるそれが吹き飛び空で崩れて。オートマトンの傷ついた体を、更に傷付け溢れ出した粘菌は、まるで生き物のように空で球を成して踊り爆ぜ。しかし。
 彼女達の心は、この破壊の中にあっても。それがアリスのものであるからか。不思議と、恐怖は湧かず。寧ろ、彼女の力の中。何処か安堵さえ覚え。
 有るのは。アリスがこのまま、壊れてしまうのではないかという不安だけ。

「アリスッ!」

 オートマトンが声を上げる。振り向いたアリスは、自身もまた傷つきながら。この、破壊の渦の中心で。小さな笑みを浮かべていて。

「ごめん、マト。リティも。怪我させてしまって……」
「そんなこと、いい……っ! アリス、早く、こっちに……!」

 そんな。彼女の言葉に。アリスは首を、横に振って。

「アリス……!」
「ごめん。もう……もう、生きていたくなんて、ないんだ。皆を傷付けて、怖い怪物や、虫に襲われて……それに。私はもう、この渦にも耐え切れないんだ。だから」

 だから、ごめん、と。呟く彼女に。オートマトンは。言葉を失い。

「ごめん。ごめん……わがままばっかり言って」

 オートマトンが、アリスへと近付く。自身の手、備えた爪。頑なに手を握ろうとしなかったのも忘れて。アリスの体を抱きしめる。

「ごめん。ごめんね。ごめん、ごめん……!」

 抱きしめられて。その腕の中で。堰を切ったように溢れ出す涙、嗚咽、言葉。そんな二人をソロリティは、静かに。涙を流したまま、見守ることしか出来ずに。

「マト、リティ……」

 強く強く。最早。体に爪、食い込むことも忘れて。痛みも感じぬまま。嗚咽の中で。彼女たちを包む破壊の渦は、その力の奔流、輝きを。頂へと至らせて。

 刹那。輝きは、四方へ。風を乗せて、破壊し尽した物の残骸を乗せて。あれだけの力、破壊の狂騒。全てが嘘だとでも言うかのように爆ぜ。

 空に、消えた。







「……マト」

 その場へ座り込んだまま、ソロリティが言葉を掛ける。破壊の後の静けさ。静寂に包まれても尚、抱きしめることをやめず、やめられず。アリスの体を抱き続けるオートマトンへと。
 彼女の腕の中のアリスが。言葉を発することはもう、無く。眠ったように、只、何処か安堵したように。意識を失った、自我次元との接触を断った、彼女の体が残るばかりで。

「……私たちは。これからどうするべきなのだろう」

 アリスの体を
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