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英雄は誰がために立つ
Life6 湯けむり
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 あれから上手く逃げとおせた士郎は、人間界のある街角の、藤村組が贔屓にしている隠れ名店の個室に来ていた。

 「・・・・・・・・・」

 腕の立つ友人の5人の内の1人と、待ち合わせていたのだが、かれこれ1時間以上士郎は待ち続けていた。
 そんな時に扉が開き、漸く待ち人が訪れた。

 「いやぁ、わりぃわりぃ!ちょっと信号待ちしてた婆さんを助けてたら、遅れちまったよ!」
 「1時間以上もか?」
 「いやそれにしても、ここら辺だいぶ変わったんじゃねえか?オレが前に来た時より美味そうな料理店とか、ファーストフード店とか増えたしなぁ」

 士郎の追及に応えず、周辺の都市開発への感想を述べる人物。

 「つまり、食べ歩きしていたと・・・?」
 「だってよぉ。美味そうな店が新しく出来たのに、食べないで素通りするなんて失礼だろう?」
 「・・・・・・・・・・・・ハァ」
 「そう睨むんじゃねえよ、士郎。眉間にしわが寄り過ぎると、老けるぜ?それに溜息ばっかしてると幸薄くなるとも聞いたぜ?」

 士郎の追及に対して、全く悪びれる様子を見せない人物。

 「誰のせいだ、誰の・・・!」
 「そう怒んなよ、士郎!つうか、時間に遅れたのは確かに悪かったけどよ?それが人に頼む態度なのかよ?」

 更には開き直り、頼まれる側と言う立場から随分と上からの物言いだ。

 「・・・・・・確かに、頼むと言うのにこんな態度は頂けなかったな」
 「そうだろう♪」
 「だがそれにしても、随分と上から目線だな。何もしない奴が毎月、俺のポケットマネーから小遣い制で生きてるひも(穀潰し)風情の分際で」
 「なっ!?」

 士郎からの罵言に怯む人物。

 「それとこれとは、今は関係ないだろ!それに恩着せがましくする気かよ、今更!」
 「そんな気は無いが、自らの無礼も恥じず、反省に色も見られないとなれば、今後の対応を変えようと考えたくもなるな?」

 露骨な嫌見に対して唇を噛みしめるも、彼女(・・)らしさと言うべきか『往生際』が悪く反論する。

 「そもそもオレは、子供なんだぞ!」
 「書類上はもう、働ける年齢のはずだが?それに、こんな時だけそんな逃げ口上を使うとは、何時もは子ども扱いされるのを嫌っていた様だが?」
 「ぐぬぬぬぅっ!そ、それにアレは見聞を広める事で、今後のためにもなるんだ!オレは王になるべき存在なんだぞ!」
 「知らないのなら教えてやる。全てが全てとはいかないが、最近の王は仕事だってするし、時間もきちんと守るぞ?」
 「け――――」
 「――――それに加えて、自身に非がある時は謝罪もする。それに比べてどこぞの未来の王様は、働けるのに働かず、時間も守らず自分に非があっても謝罪の言葉の一つも無いどころか、開き直って
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