暁 〜小説投稿サイト〜
ワールド・エゴ 〜世界を創りし者〜
『世界断絶』−finish next history−
lost story1−『傲慢』−
[4/4]

[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話
よ……!」

「ほう?まだ我に立ち向かう勇気が残っているとはな。良かろう、好きなだけ殺してやる」

 8番目の背後の空間が歪む。歪みから現れるは無限の剣。その切っ先は全て此方を向いている。

 ──パチンッ!

 8番目が指を鳴らすのを合図に、無数の剣は前進を開始する。
 マシンガンじみた連射音と同時に、無限の鈍色の残光はワールドの視界を覆い尽くした。

「──う……オオァッ!!」

 同時にワールドも、その動きを開始する。
 降り注ぐ必殺の刃を潜り抜け、隙間を縫い、8番目へと迫る。

 再びの連射音が響く。
 見上げれば、さらなる剣の雨がワールドを始末せんと降り注いだ。その数、先の5倍。

 ワールドは自らの右手に真空の剣を生み出し、応戦しつつ8番目へ迫る。
 ──残り10メートル。

 鮮血が舞い散る。

 ──残り5メートル。

 裂かれた皮が宙を舞う。

 ──残り3メートル。

 真空の剣が、ヘシ折れる。

 ──残り2メートル。

 剣が、全身を貫く。

 ──残り……1メートル。


「──ふむ。……これは予想外だな」

 ワールドの体は、8番目の一歩手前で静止していた。
 折れた剣は8番目へと向けられているが、その刃は届いていない。

 左右から伸びた剣がワールドの体を貫き、宙へと縫い付けている。

「──か……ぁ……っ!」

「まさかここまで接近を許すとはな。力を使わなかったとはいえ、素質はあるという事か。成る程な」

 再び激痛が全身を襲う。
 今度は剣が突き刺さったまま故、傷の巻き戻しも出来ない。

 ──ダメだ……意識が……くそ……

 目の前が白く染まっていく。血が足りない。感覚も無い。
 確実に──死ぬ。














 ──────────────────














 目の前で倒れた青年を、8番目はただ見下ろした。
 暫く経つと、8番目は手をかざし、青年の体の時を巻き戻す。
 傷が癒え、血も戻り、やがて完治へと導かれる。

「──フン。まあいい、連れて行くか」

 8番目はワールドを担ぐと、時空の歪みへとその姿を消した。
 誰も居ない世界には、静寂のみが満ちる。

 ──時の止まったその世界で、『滅び』が再び現れる事は無かった。















 世界転生まで、あと32時間。
 《滅びの依り代》の完成まで、あと30時間。
[8]前話 [9] 最初 [1]後書き [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ