『世界断絶』−finish next history−
lost story1−『傲慢』−
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よ……!」
「ほう?まだ我に立ち向かう勇気が残っているとはな。良かろう、好きなだけ殺してやる」
8番目の背後の空間が歪む。歪みから現れるは無限の剣。その切っ先は全て此方を向いている。
──パチンッ!
8番目が指を鳴らすのを合図に、無数の剣は前進を開始する。
マシンガンじみた連射音と同時に、無限の鈍色の残光はワールドの視界を覆い尽くした。
「──う……オオァッ!!」
同時にワールドも、その動きを開始する。
降り注ぐ必殺の刃を潜り抜け、隙間を縫い、8番目へと迫る。
再びの連射音が響く。
見上げれば、さらなる剣の雨がワールドを始末せんと降り注いだ。その数、先の5倍。
ワールドは自らの右手に真空の剣を生み出し、応戦しつつ8番目へ迫る。
──残り10メートル。
鮮血が舞い散る。
──残り5メートル。
裂かれた皮が宙を舞う。
──残り3メートル。
真空の剣が、ヘシ折れる。
──残り2メートル。
剣が、全身を貫く。
──残り……1メートル。
「──ふむ。……これは予想外だな」
ワールドの体は、8番目の一歩手前で静止していた。
折れた剣は8番目へと向けられているが、その刃は届いていない。
左右から伸びた剣がワールドの体を貫き、宙へと縫い付けている。
「──か……ぁ……っ!」
「まさかここまで接近を許すとはな。力を使わなかったとはいえ、素質はあるという事か。成る程な」
再び激痛が全身を襲う。
今度は剣が突き刺さったまま故、傷の巻き戻しも出来ない。
──ダメだ……意識が……くそ……
目の前が白く染まっていく。血が足りない。感覚も無い。
確実に──死ぬ。
──────────────────
目の前で倒れた青年を、8番目はただ見下ろした。
暫く経つと、8番目は手をかざし、青年の体の時を巻き戻す。
傷が癒え、血も戻り、やがて完治へと導かれる。
「──フン。まあいい、連れて行くか」
8番目はワールドを担ぐと、時空の歪みへとその姿を消した。
誰も居ない世界には、静寂のみが満ちる。
──時の止まったその世界で、『滅び』が再び現れる事は無かった。
世界転生まで、あと32時間。
《滅びの依り代》の完成まで、あと30時間。
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