本編
第一話
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ふぉっふぉとバルタン笑いをしながらのその態度は露骨ではあったが、正直ともいえルイズには好感を与えた。ルイズはこっそり心の中でバルタン星人扱いしていたことを謝罪した。
「それでは着いてきなされ、馬小屋まで案内しよう」
「ッ、ありがとうございますッ!」
そうしてルイズは馬小屋まで案内してもらった。
「馬に乗るのも久しぶりね…」
「乗り心地はどうかの?」
「はい、問題ありません。なにからなにまで本当にありがとうございました」
馬にまたがり頭を下げるルイズは、そうだと思いつき背負っていたリュックサックをごそごそと漁り中から長方形の箱を取り出してオスマン渡した。
「今はあまり持ち合わせがございません、此度の旅行の土産物の一つですがお礼として受け取って下さい」
オスマンはそれを受け取ると、開く仕組みになっているそれを開けた。中には煌めく棒状のものが入っていた。オスマンはそれが素晴らしい精度のガラス細工であることは分かったが何に使うものかは分からなかった。
「ガラス製のペンです。先の尖った部分にインクを付けてお使いください」
ルイズはこういった精度は高いが高名な土メイジが集まれば作れないことはないような物をお土産としてかなり持って帰っていた。背中の大きなリュックにはそういったものが沢山あり、オスマンに渡したペンもその一つだった。
見た目だけで高価なものだと分かるが、大貴族の子女の土産であれば相応かとオスマンはありがたく受け取った。
「それでは失礼します。馬はなるべく早く返しに参ります」
「うむ達者での、よければまた学院をゆっくり下見でもしに来てくれるとうれしいのお」
「わかりました、また伺わせていただきます。では」
そしてルイズは馬を駆り颯爽と走り去った。ルイズが見えなくなるとオスマンは学院長室に戻り早速貰ったペンにインクを付けてみた。
「ふぉ!」
てっきり羽ペンのような構造なのかと思っていたオスマンだったが、インクがペンの内側の小さな溝に勢いよく吸い込まれたのをみて驚いた。果たしてこれほどの加工が出来るメイジとはどれほどのものなのかと思いを馳せた。
「ふむ、今年は平和そうじゃが来年辺りからは一波乱あるかもしれんの」
その日もふぉっふぉっふぉとバルタン笑いが学院には響いていた。
因みに、ルイズは久しぶりの乗馬でヴァりエール邸についたときには腰を痛めていた。
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