Episode of Tabasa 臆病者-オリヴァン-part1/変心する嫡子
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に対して必死に警告を入れていたことを思い出した。
…そうだ、この子は父を殺され、母親の心も失ったせいで、表情を持たない人形のようになってしまった。悲しい過去を背負い、その無表情という仮面の下に隠れた本当の気持ち。それを読み取ろうともせず彼女に不満を抱くのはお門違いだ。
一方でイザベラは、タバサのノーリアクションぶりにしかめっ面をさらしていた。本来ならタバサによく似ているはずの美しい容姿が、醜く歪んでしまってせっかくの高貴さと可憐さを露ほども感じさせないほど台無しにさせている。
「あんたわかってんの?もう王族じゃないのよ?魔法がちょっとくらいできるからっていい気になってるの?」
いい気になっているのはどっちだとキュルケは心の中で悪態をついた。この言い方だと、この女はタバサと異なり魔法の才能が乏しく、天才であるタバサを妬ましく思っている。
しかし魔法の才が使えないからってなんだというのだ。才能が乏しいという点に関してはルイズも同じだが、彼女の場合自分やクラスメートたちからどんなに馬鹿にされても決して諦めたりくじけたりもしない、どんなに嫉妬したり悔しがっても努力を絶対に忘れない努力家なのだ。それにサイトに対して隠しているつもりであからさまな淡い想いを抱くなど女の子らしい可愛らしさを持ち合わせているのだ。
だが、この女はなんだ。この女とは初めて会うことになるが、キュルケは人を見る目が長けている。この女は『全く何の努力もしていない』!さっきの様になっていない椅子の座り方といい、明らかに自堕落オーラが漂っている。王女と言う立場に甘んじるあまり毎日だらけた生活を送っているのだ。とことん人のことを妬むだけ妬んで、そして嫌がらせを働く。最低だ。
実際キュルケの予測は全て当たっている。才能がない者はルイズのように必死に努力し自分を磨くことで時に天才以上に輝く。だがイザベラは自堕落な生活に甘えて何一つ努力していない癖に、自分と異なり才能にあふれたタバサに対して理不尽な嫌がらせを働くばかりの酷い女だった。
しかしそんな従姉妹にタバサは眉一つ変えない。逆にその無表情と眼差しにプレッシャーを感じたイザベラはぐ…とたじろぐ。
「ふ、ふん。いい気になってるのも今の内だよ。ほら、これが任務の概要」
イザベラは余裕をかまそうとしながらも隠せない動揺をさらしながら、紐でくるまれた用紙を投げ渡す。
「そうだ、もう一つおまけでくれてやるよ」
さらにもう一つ、彼女は古い人形を投げつける。タバサは床の上に転がったそれを拾う。いびつで古ぼけた人形だった。
「人形娘に人形。なかなか傑作だろ?」
そしてシッシ!と虫を追い払うように出て行くように言った。
キュルケはこれまであらゆるボーイフレンドを作って遊んだことで女子から反感を買い、彼女たちやタバサの才能を妬んだ同級生
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