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銀河英雄伝説〜新たなる潮流(エーリッヒ・ヴァレンシュタイン伝)
第二百六十七話 傀儡師
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かな?
「他には?」
『現状ではそれだけだ』
「そうか、何か分かったら逐次教えてくれ。私はこれから新無憂宮に行く」
『分かった』
通信を切った。ヴァレリーにエーレンベルク、シュタインホフ、リヒテンラーデ侯に連絡を取る様に頼む。さて、忙しくなるな。
「フェザーンで暴動か。出兵の名目としては十分じゃな」
「そうですな」
「真に」
リヒテンラーデ侯の執務室で三人の老人が満足そうに話している。国家の重臣というより犯罪組織の幹部の方が似合いそうな表情だ。俺はこいつらとは違うぞ、気真面目な小市民なんだ。
「ルビンスキーが上手くやったようだの」
リヒテンラーデ侯が俺を見てニヤッと笑った。笑顔が怖いのは間違いなく悪党の証拠だ。
「こちらに寝返って丁度半年です。約束通りですね。流石にフェザーン人です、こちらの期待を裏切りません」
リヒテンラーデ侯が声を上げて笑った。
「感心するのは良いが片付けるのを忘れるでないぞ」
声を上げて笑っているが目は笑っていない。エーレンベルク、シュタインホフも俺を試すかの様に見ている。寒いわ、今年の冬は本当に冷える。
「分かっております」
俺が答えると老人達が満足そうに頷いた。
「声明を出す。同盟は帝国との約定を破りフェザーンの中立性を回復せずに混乱させている、帝国はこれに対し実力をもって対応すると」
皆が頷いた。既定方針通りだ、問題は無い。
「出兵は年が明けてから、それで良いかな」
リヒテンラーデ侯の問いにエーレンベルク、シュタインホフが俺を見た。実戦部隊を率いるのは俺だ、答えろという事か
「それで宜しいかと思います」
「うむ、では準備にかかってくれ。私は陛下にお伝えしてくる」
執務室を出ながら思った、戦争だ、艦隊司令官達を会議室に集めなければならん……。
司令長官室に戻るとキスリングが俺の帰りを待っていた。どうやらTV電話では話し辛い事が有るらしい。ヴァレリーに一時間後に司令官達を会議室に召集するように頼んだ。キスリングは無言だ、一時間で十分らしい。
「応接室に行こうか」
「ああ、そうして貰えると助かる」
二人で応接室に入りソファーに座るとキスリングは直ぐに話しかけてきた。
「かなり酷いな」
「と言うと?」
「銃火器が使われている」
「反乱軍がか?」
俺の問いにキスリングが“そうじゃない”と首を横に振った。
「先に発砲したのはデモ隊の方だ」
「まさか……」
「事実だ。ラートブルフ男爵、シェッツラー子爵、ノルデン少将が現場に居た」
「デモに参加していたのか?」
またキスリングが首を横に振った。
「いや、少し離れたところで見ていただけだ。反乱軍の高等弁務官府を囲む形でデモが起きたらしい。警察がそれを阻む様な態勢で弁務官府を警
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