故郷
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る……そんな人達しかいないのなら、外に出る意味は無い。ここにいればこれ以上傷つかずに済む……マキナもそう思うよね?」
『……かもしれない。私にとってアクーナは“いつか帰るところ”……だからシャロンが迎え入れてくれたのは嬉しかった。とても……とっても嬉しかったよ。きっとここにいれば、ずっと望んでいた平穏な生活が出来るんだろうね』
「そうだよ。マキナの両親に責任を擦り付け、娘のあなたに関係ない咎を背負わせ、声を奪い、痛みを与える薬を投与してきた人達がいる次元世界に、長い間耐えてきたあなたが戻る必要なんて無い。もう休んでいいの……」
『だね、私も休みたいと思った事は何度もある。なんで私がこんな目に遭わなくちゃならないのって、運命を呪った事もある。世界は決して平等じゃない、誰かが幸福を味わえば、別の誰かが不幸を味わっている。それはきっと覆せない摂理なんだろう……。だけどそれに抗っている人がいた。闇の中でも足掻き続けて、運命を乗り越えた人がいた』
「それって……マキナを助けてくれた人の事?」
『そう……私を闇の牢獄から連れ出してくれた人。彼もまた人生を歪められて、多くの苦労を味わってきた人だった。でもあの人はどんな時も諦めなかった。心のままに戦い抜き、常人には出来ない多くの事を成し遂げてきた。その背中に私を始めとした、多くの人達が魅せ付けられた。彼の姿を見て、自分の在り方を見つめ直す人がいた。彼のような心を持ちたいと、皆が憧れた。それで思ったんだ……彼のおかげで救われた私には何が出来るんだろうって』
「だからって次元世界や管理局が関わる必要は無い。平穏な生活を取り戻して、幸せな姿を見せる事、救った命には価値があったと見せる事も恩返しになるはずだよ。何も選択肢を自分から限定する必要は無い、魔法とかをわざわざ使う理由も無いよね」
『まぁ確かに、魔法はあくまで手段であって目的や生き甲斐にしちゃいけない。そもそも私は管理局とか聖王教会とかに恭順は誓ってないよ。単に自分の意思でやりたい事をやるだけ。そのために次元世界を利用する事はあるけど、私は……自分の意思で生きたい。誰かの意思に操られるつもりは微塵も無い、二度と……自由は手放さない!』
「…………なんで? やっと帰って来てくれたのに、マキナはまたいなくなっちゃうの? どうして……ずっと待ってたのに、誰も友達がいなくなって寂しかったのに、あなたは私の所からまた離れてしまうの……? 嫌だ……いやだぁ……! もう私を独りにしないで……! お願いだから……おねがいだからぁ……!」
『そんな事は無いよ、シャロン。私はもうあなたを独りになんてしない。ちゃんと一緒にいるから、不安に思わなくても大丈夫だよ。うん、大丈夫、大丈夫だ……』
マキナは声を出せないため、二人の会話はシャロン
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