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リリなのinボクらの太陽サーガ
故郷
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きたマキナまで耐え難い悲しみを背負う事になります。それに私も……ですからその話を受ける訳にはいきません」

これ以上……私のせいで犠牲が増えるのは嫌だから。兄様に呪いを押し付けたも同然の私が言うのもおこがましいが、だからこそもう嫌なのだ。兄様は皆には何も言わず、全ての闇を背負っていくつもりだ。事実を知る者には口外しないように……最期までありのまま接する事が出来るように。それが兄様の生き様だった。
今の私は兄様程の強い意志は持っていないが、主はやてと共に過去の罪を償う道を決意した。兄様に救われた身だからこそ、この命を世界に還元していきたいのだ。だけど………いや、あまり余計な言葉を並べるのは無用か。
私は……罪滅ぼしをしたいだけ、自分のせいで人の命が潰えるのが嫌なだけなんだ。だから生き残ったアクーナの民の姿を見て私は大きな喜びと同時に、安堵の気持ちを抱いたのだ。そして……礼を言いたかった。

――――生きててくれてありがとう、と。

だけど私には、それを言う資格が無い。まだこの手は、誰かの血で濡れたままなのだから。

「そうですか……わかりました。確かにあなた方もこの先色々大変でしょうからね、この話は無かった事にしましょう」

「すみません、ご期待に添えなくて……」

「いえ、こちらこそいきなりこんな話を持ち込んでしまって申し訳ありませんでした」

お互いに何だか気落ちしてしまいそうだが、そこはシャロンの歌が気力を分けてくれたおかげで、変に落ち込むような事にはならなかった。その後もシャロンは何曲か歌い、私達の心に心地よい音色を伝えてくれた。

「〜♪」

最後にシャロンが歌ったのは“勝利の歌”という名前の曲で、友との再会がいつか来ると信じていたシャロンの気持ちが伝わってきた。聞いていると胸の奥から力が湧き上がってくるだけでなく、何かやり切った気持ちを抱ける良い曲だった。

「ところで心の楽園とはグラビア本なんですか……?」

「ま、そういう曲ですから気にしなくて良いんじゃないですか」

ともあれコンサートが終わり、村長さんは自宅へ戻っていった。街の明かりも次々と消えていき、辺りを静寂と夜の闇が包んでいく。

『すごく上手かったよ、シャロン。もういっそ歌手にでもなったら?』

「それはちょっと遠慮しとくよ。私はあまり目立つ場所は苦手だから」

『そっか、少し残念かな。シャロンが歌手になったらファンクラブでも立ち上げてたかもね。それで私がファンクラブ会長って感じでさ』

「そこまで言ってくれると私も少し嬉しい。でもこれは趣味の範囲だから、本気で目指している人達には及ばないよ。それに私はこの街から離れたくない、だって外の世界は奪う事が大好きな人しかいないんでしょう? 家族を、友を、マキナを奪って傷つけ
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