故郷
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…」
「いくら管理局でも戦力を手に入れたいがために、人の選択肢を勝手に奪ったりはしないはず……。一応避難所は用意しているのだが、それにしても……アクーナはいずれ滅ぶ、か。過疎化の極み……と言うより、未来を担う命が失われたのが原因か」
「僕は闇の書の脅威は知識だけなら知ってたけど、こうして当事者達の話を聞くとやるせない気持ちになりますね……」
「一度失ってしまったものは元通りにならない、それを今日一日で深く思い知らされた。シャロンの話を聞いてから、罪悪感で身が裂けそうだよ……」
『私……もっとシャロンの気持ちを知りたい。彼女の心を支えられるようになりたい。辛い時に傍に居られなかったから、これからは一緒に歩めるようになりたい……』
「アレクトロ社の施設でマキナも大変な目に遭ってきたというのに、そんな事を言えるとは……後悔してばかりの私と違ってマキナは強いな」
『そうでもないよ、私はただ単に幼馴染みの力になりたいだけ。それにこの気持ちはサバタ様が教えてくれた心だよ』
「俺が?」
『うん……覚えてる? “大切な奴らが笑顔でいること”……SEED摘出手術の前に、サバタ様が戦う理由としてこの言葉を教えてくれた。私、衝撃を受けたんだ……。サバタ様は決して崇高な目的で戦ってるんじゃない、ただひたすら自分のやりたいようにして皆を守ってる。正義や法、贖罪のように周りや自分を納得させる理由を付けないと動けない人じゃない。偽りなく自分の心のままに動いているから、私はサバタ様の姿に惹かれたんだ』
「あの時の事か。まさかそこまで深く受け止めていたとは……まぁいい。少々買いかぶり過ぎだと思うが……要するにマキナは今、シャロンと友としてこれからの時を共に生きたいと考えているんだな?」
『はい。11年前の事件で別れてしまった私達だけど、色々あってこうして再会出来たから、沈みきってしまったシャロンの心に太陽を取り戻したい。シャロンは幼馴染みで、私の大切な友達だから……彼女に本当の笑顔を取り戻してあげたいんだ』
「そうか……」
マキナの決意を聞き届けた兄様は、軽く息を吐いた後、どこか安心したような表情を見せた。ポンッとマキナの頭に手を置き、目線を合わせると兄様は真摯な眼で告げる。
「それならマキナの思う通りにやると良い。おまえが決めた事なら、最後までやり遂げろ」
『はい!』
「ついでに言っておくが、俺達は最低限しか手を貸さんぞ」
『はい!…………はい?』
「え? に、兄様?」
「最低限しか手を貸さないって、どうしてですか、サバタさん?」
突然の宣告に私達は思わず呆然とし、兄様にその旨を尋ねる。シャロンの心を救いたい気持ちは皆共通しているはずなのに、あえて突き放すような言い方をした兄様
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