故郷
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姿を描いた奴だ』
『はぁっ!?』
「驚いたよ。これ、私だったんだ……」
流石のシャロンも、見ているとSAN値が削がれそうなこの絵が自分をモデルにしていたという事実を知って、苦笑いをしていた。まぁ……気持ちはわかる。肖像画や写実画ならともかく、こういった絵で描かれると、描かれた側としてはどう反応して良いのかわからなくてもおかしくない。
「しかし、この絵は俺達がおいそれと評価して良いモノじゃないぞ。多分、その業界では凄い評価をされる絵だ……」
「もしかしてマキナって、実は美術系に才能があったりする?」
『昔の自分が描いた絵を皆が見てると思うと、何だか恥ずかしくなってくるね。色んな所がまだまだ未熟だからなぁ、こことかそことか』
「わ、私にはどこが未熟なのかすら全然わからないのだが……。本当、世界は広いものだと思い知らされたよ……」
「夜天の管制人格ですら、キュビズムはまだ理解出来ていないんだね。これは面白い事を知った」
まぁそんなこんなでマキナの意外な事実を知り、先程までの重い空気は一蹴出来たので、食事を再開した。魚の切り身にダシが染みて、程よい柔らかさに舌つづみを打っていると……、
ポンッ。
「?」
軽い破裂音がしたと思ったら、兄様が箸で掴んでいた切り身を、見た目がテスタロッサに似た小さくて青い何かがパクッと咥えたように見えた。すぐさまポンッと音を立てて姿を消したのだが、あれは一体……?
「あ、あの、兄様? 今のは……」
「何の事だ?」
「え? いや、たった今兄様の箸に……」
「疲れて幻でも見たんじゃないか? 別に何も無かったぞ」
「はぁ……兄様が仰るのであれば、そういう事にします……」
あまりにも一瞬の出来事だったので自分でも自信が持てず、兄様が何も言わないという事は本当に幻覚だったのかもしれない。さっきの事もあるのでこれ以上空気を悪くしたくないし、あまり追求する必要はないかな。
色んな事を話しながら夕飯を食べ終えた私達は、拠点となる地下の寝室に案内された。探索の間はそこで寝泊まりする訳だから、持ってきた荷物を拡げて探索に必要なものだけを荷物にしまい直す作業を行う。
「魔法が関わらなかったら、マキナは今頃芸術家の卵になっていたかもしれないのか」
『ん〜どうだろ? 芸術家の道に進むかどうかなんて、今となっちゃわからないよ。それに今から進む可能性だって無きにしも非ずだし』
「芸術家かぁ……もしマキナが芸術家の道に進むなら僕は応援するよ」
「だけど水を差すようで悪いが、万年人手不足を宣言している管理局がAAランクのリンカーコアを持つマキナを放置するとは限らないと思う。いわく付きとはいえ、魔力の高い人間は次元世界全体でも貴重だから…
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