6部分:第六章
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第六章
そんな中でだ。人民、俺達の生活は。
「酒さえあればいいからな」
「ああ、じゃあ飲むか」
「酒があれば幸せだよ」
「今日も飲もうぜ」
酒浸りになってきていた。とはいってもロシアだから特におかしくはない。
問題はその酒の量が増えてきていた。それでだ。
国は暗くなっていく。外じゃアメリカが騒がしい。そんな中で。
ものの質はどんどん悪くなって数も減ってきた。それでも日本の学者やソ連と親しいというか媚びてる政党は言い続けていた。ソ連がいいと。
何かどうしようもなくなってきた中でゴルバチョフが出て来た。すると。
情報公開やら改革やらが行われた。ソ連が変わった。
これには俺も驚いた。人民達も。何か別の国になってきた。
けれどその中でだ。ソ連は。
変わるのと一緒に崩壊してきた。あまりにも急な改革のせいで。
国自体が大変なことになってきた。ゴルバチョフは改革をはじめて進めてもまさか国が崩壊に向かうとは思っていなかったみたいだ。
それでだ。クーデターが起こってそれはあっという間に終わって。
気付けばソ連が崩壊していた。市場にはものがなくなり闇市が栄える。共産主義なんてもう何処にもなかった。それ自体が崩壊した。
その崩壊した中で人民達は呆然としていた。それは日本の学者達もだった。
「こんな筈がない」
「ソ連が潰れる筈がない」
「共産主義が終わったのか」
「もうか」
「なくなったのか」
こうだ。奴等は言っていた。
「けれどそれでもだ」
「歴史的意義はあった」
「だから無駄ではなかった」
「ソ連は」
その崩壊して何もかもがなくなった国を見てだ。奴等は言う。
しかし俺にはわかったいた。その何もなくなりどうやって作ったのかわからない、わかっていても絶対飲みたくない酒を飲んでいる人民達を見ながら。
俺はだ。こう言った。
「これが顛末なんだよ」
ソ連のだ。俺の愛した女が恋焦がれて入って殺された国の。
言論の自由もなくて秘密警察と党員が幅を利かせていて要塞みたいに監視されていて。
市場にはものがなくて労働は適当になっていて品質は悪くて軍隊の数ばかりが多い。その国のだ。
終わったことだと思った。そうしてだった。
俺はソ連の崩壊を見届けたのは自分のベッドの中だった。この時の俺は。
癌だった。国が潰れて呆然となっている家族、孫達にも囲まれて。
そのうえで最後になろうとしていた。そこでだ。
まずはロシア語、次に日本語でこう言った。
「最後まで見てやったからな」
皮肉に笑って言ってやった。死ぬ間際に走馬灯が浮かんできてソ連のこと、日本のこと、馬鹿共のことも浮かんだ。崇拝していたソ連が崩壊して呆然となっている日本の馬鹿共のことも。
そして最後にあいつの
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