5部分:第五章
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第五章
軍人達、大抵は政治将校達が話しているとまた噂で聞いた。
「所詮アフガンは小国だ」
「勝てるな」
「負ける筈がない」
「我々はアメリカとは違う」
「ベトナムの愚は犯さない」
この頃ソ連じゃベトナムでアメリカがしたことは嘲笑の種だった。ついでにアメリカ帝国主義の野蛮さと残忍さのプロパガンダもやっていた。
アメリカと一緒にソ連に何かと楯突いてくる中国も嘲笑った。中国はアメリカの直後にベトナムに喧嘩を売ってこれまた派手に負けていた。
共産主義同士の戦いだ。それはだ。
「信じられない」
「何かの間違いだ」
「共産主義同士が戦争をするのか?」
「平和勢力同士が」
「何故だ」
また日本の知識人達が話しているのを聞いた。
「中国とベトナムは一枚岩じゃなかったのか」
「共産主義は一つだった筈だ」
「いや、これは共産主義の問題じゃない」
「何かの間違いだ」
「資本主義が勝ったことにはならない」
何か小田実とか本多勝一とかいうのがこんな的外れなことを言っていたらしい。この連中がベトナムに平和を、だの中国の日本軍だのやってたらしい。
それを聞いて。俺は思わず笑った。腹の底から笑った。
「そういう問題じゃないだろ」
こう思った。実際に。
「共産主義が平和勢力の筈があるか」
まずはこの妄想から否定した。
「スペイン内戦で何した、東欧で何した」
まずはここから思った。その中国とベトナムの戦争の時は。
「満州で攻められたんじゃないのか。それでどんな目に遭った」
俺はソ連、今俺がいるこの国を絶賛する日本、祖国のインテリ共を嘲笑した。
「それでよくそう言えるな。頭は大丈夫か」
まずい官品の煙草を吸いながら言った。
「大体共産主義だって人間の作ったものだろ」
そのだ。戦争をやる人間のだ。
「キリスト教だってそうだ。自分達こそがっている奴等こそ」
このことはだ。ソ連に来て本当によくわかった。
「戦争を起こすんだよ。何馬鹿言ってやがる」
俺は嘲笑し続けた。
「ソ連が平和勢力で共産主義勢力同士が争わないのなら」
そもそもスターリンが死んでいきなりだ。ソ連と中国は派手に喧嘩別れしてその中国はアメリカと組んだ。その帝国主義の親玉とだ。
「それで何でそう言えるんだよ。何があってもわからないんだな」
こう思った。心から。
そしてアフガンでもだった。奴等は狼狽しきりだった。
ただソ連の中では。相変わらずだった。
書記長はまさに生き神様で言論の自由はない。すぐに秘密警察、今じゃKGBが飛んで来る。軍事パレードがやけに好きで市場にはものがない。
その中で戦争を続けて。状況は。
中々終わらない。ベトナムみたいになってきていた。そのアメリカや中国がやらかした。
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