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第一章
皮肉な結末
「素晴らしい国があるのよ」
俺はベッドの中から彼女に言われた。
「ほら、この前できた」
「ああ、あの共産主義のか」
「ソ連っていうけれど」
「話は聞いてるさ」
ベッドの中で身体を半分起こしてそうして煙草を咥えて火を点けて。
情事の後の煙草を楽しみながら。俺は彼女に返した。
「あれだろ?農民や労働者が政治をやってるんだな」
「ええ、革命で皇帝を倒してね」
「それに貴族もだよな」
ソ連の前の国は知っていた。ロシアだ。
皇帝が絶対者になっていて貴族達が特権階級になっている。そうしてやりたい放題をやっていて人民は餓えていた。そうした国だった。
だが革命でその帝政ロシアが倒れて。それでだった。
その国ができた。そのソ連がだ。
そのことをだ。彼女は俺に言ってきた。ここで。
「どう?興味ある?」
「まあな」
俺は煙草を吸いながら彼女に応えた。
「そんな国が本当にあったらな」
「凄いわよね」
「どうしてもな。世の中ってのはな」
このだ。資本主義の世界なら。俺は言った。
「資本家やら地主やらがいてな」
「搾取してるわよね」
「連中だけが肥え太って」
「労働者や農民は苦しんでいるわ」
「間違ってる」
俺は怒りとと共に言った。
「そんな世界はな」
「けれどソ連はそうした世界じゃないのよ」
「資本家や地主が倒されてか」
「そう、労働者や農民が国を治めているのよ」
「いい話だ」
俺は心からこう思った。彼女から話を聞いて。
この女は俺の愛人だ。俺は俳優で女房も子供もいる。けれど映画の撮影で知り合った新人のこの女とも付き合っている。そうした相手だ。
本が好きでそうした本をよく読んでいる。プロレタリア文学が好きなのは前から聞いてた。俺も大学でよくアナーキストやそうした類の本を読んでいた。
それでだ。今もだ。俺に話してきたって訳だ。
俺はその話を聞いて心から思った。
「そんな世界にどの国もなればな」
「いいわよね」
「少なくとも俺達が今いるこの国は」
君主がいて世襲で。そうして資本家や地主が威張っている。
まさに資本主義の社会だ。一部の奴等だけが権力を握って肥え太ってる。
そんな国だ。思うだけで吐き気がする。けれどソ連は。
「労働者と農民の楽園か」
「皆が幸せに過ごしているのよ」
「何の心配もなくか」
「生活は保障されていて」
国がそうしたことを完璧にやってくれているからだ。
「自由があってね」
「自由もか」
「おまけに人民を騙す宗教家もいなくて」
「糞坊主達もか」
坊主は嫌いだった。奴等の言うことはインチキだと思っていた。
「あいつ等もいなくてか」
「そう、皆
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