第三十六話
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side クロノ
僕は今、眼前のモニターを食い入るように見つめている。
迫り来る無数の魔力スフィアを被弾無く回避しながら向かっていくアオの姿を見る。
一体どんな訓練をつめばあの量の弾幕を被弾無く避けられると言うのか。
避けるだけではなく、先ほどからソラとなのはは隙を突いて攻撃を仕掛けているのも見える。
「凄いわね、彼ら」
母さんの少し呆れたような声が響く。
「はい。こんな事管理局の魔導師で出来る人は一体どれくらい居るのでしょうか」
エイミィが母さんの声を聞いてそう返答した。
確かにこれだけの技量を持った人なんて一握りだ。それこそ何年もの修練の先にようやくたどり着けるものだ。
それを年端も行かない彼女たちが修めているはいささか不釣合いではある。
なんて疑問が浮上した所でさらに新たな問題が浮上した。
「これは…幻影系の魔法か?だがそんな事をしても意味は無いだろうに」
モニタの先でアオの周りに20人ほどの分身が現れたのが見えた。
このように、物量で攻めてくる相手に囮にしかならない幻影魔法など魔力の無駄もいい所だ。
しかし、エイミィが手元のキーボードを鬼気迫る勢いで叩き、画面を確認すると、ありえないと言った表情で叫んだ。
「違います!アレは全て実体です」
「はあ!?そんな訳無いだろう?」
エイミィの余りにもショッキングな報告に此方の声も荒げてしまった。
「クロノ君…私もそう思って何度も確認したんだけど、計器はアレを実体だって算出しているの!」
「そんなバカな!」
アオの放った魔力球。幻影にまぎれて本体が行使していたとしてもその全てを正確にターゲットに当てる事など不可能ではないかと思えるほどの量だった。
しかし、その後の砲撃魔法で彼ら一人一人が実体である事が証明される。
スフィアであるシューターではなく、砲撃であるバスター。
その突き出した手の先で収束してから放たれると言う使用方法によりそれが幻影に被せて本体が行使する事は殆ど無理であろうという事は僕にも分る。
「結界上部で巨大な魔力反応を感知!こ…これは…」
モニターに映し出されるのは空中で静止して大魔力砲撃の準備をしているであろうなのはとソラの姿。
しかしおかしいのはやはりその姿が増えている事。
「エイミィ!」
「収束されている4つの魔力球は両方とも実体です!」
「そんな…ばかな…」
信じられずにモニターを見ると今度はその数の多さで四方からバインドを展開しているアオの姿が映る。
しかし敵はその十重二十重のバインドをその動物的直感で避けていく。
しかしその動きが段々ぎこちなくなっていく。
何だ?アオは何かしているのか
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