第三十六話
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かしてアレに触れれば私の失った記憶が戻るの?
「…そうだね。だけどそれは5歳から9歳までのあなたの記憶」
え?それ以前は?
「それ以前の記憶が今の私かな?でもそれはあなたの記憶じゃないの」
うん?どういった意味だろう?
5歳より前の記憶だって私のもののはずだ。
だけど、私の心を読んだのか、アリシアと名乗った少女の表情は暗い。
「ここでその光に触れればあなたは自分の記憶を思い出す。だけど私はそれを勧めない」
何で?
「それに触れたら今の生活が終わってしまうから」
終わってしまう?今の生活が?
私の忘れたしまった記憶に一体何があるのだろうか。
「私は忘れたままの方がいいと思う。でもそれを決めるのはフェイト自身だから」
ここで選んで、とアリシアは告げた。
あの光に触れれば記憶が戻る。
だけど、アリシアが言うには忘れたままの方がいいらしい。
私は少し考えてからアリシアに一つだけ質問する。
私が記憶を忘れてしまって悲しむ人は何人くらい居るの?
今の私がもし、記憶が戻った事で悲しんでくれるのはゆかり母さん、アオ、ソラ、なのは、久遠の5人。
もし、それよりもいっぱいの人が私を待っていてくれるなら…
「……残酷かもしれないけれど、一人も居ないわ」
アルフは?
「アルフはきっとこのままフェイトが笑っていてくれる事を望んでいるはず」
自分の事を思い出してもらえなくてもね、とアリシアは続けた。
「コレが最後のチャンスだよ。コレを逃したら多分一生思い出さないんじゃないかな」
どうするの?と、アリシアは問いかけてきた。
私の答え。
今の私が望んでいる事。
この選択を後悔する事がいっぱい有るかも知れない。
だけど私は…
「そう、わかった」
そう言うとスウっとその輪郭がぼやけて最終的にはパと消えてしまうアリシア。
さようならお姉ちゃん。
それを見送って、私の意識は暗闇から覚醒した。
「ここは?」
最近見慣れたどこか柔らか味の有るクリーム色の壁紙ではなく、どこか鋼鉄を思わせる鉄色で、どこか冷たい印象を私に与える。
「アースラって言う次元航行艦?の中よ」
アースラって言う名前はアオ達が出かけるときに聞いた。
つまり私は敵の船の中にいるって事だ。
「っ!ジュエルシードは」
慌てる私を優しく押しとどめてゆかり母さんが話す。
「フェイトちゃんは何処まで覚えているかしら」
「……空からの雷撃の後、私、直ぐに気絶したから」
そう、と一拍置いてから話しだす。
「あの後、フェイトちゃんがアオに抱きとめられてから直ぐになのちゃん達がジュエル
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