プロローグ
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きっとお別れなんだ。これからどうすればいいのだろう。
星も月も無い空はただ雲で埋め尽くされていた。
やっと明かりが見えたと思えば、街灯だった。僕が捨てられたあの場所に連れられていたことに今気づいた。
「すまんな」
第一声、予想もしなかった言葉が飛んできた。
「お前に魚を捕まえさせられなかった」
「そんな、いいですよ、下手くそな僕が悪いんです」
「しかし、約束を守れなかったのは俺だ」
彼にあのときのような威圧感がなかった。僕が慣れてしまっただけかもしれない。
「お前はこれからどうするつもりだ?」
「え?」
わかっているのに、聞き返してしまう。
「俺たちについていくのか、一人で生きていくのか。」
わからなかった。そもそも、なぜ一緒にいるのかすらわからなくなった。
その時、意外なものが目に映った。
ルナミア。
唖然とした。美しいモノトーンのグラデーションは暗闇ではあまり見えなかったが、僕には確かにいることが分かった。
僕の反応を見て、グリードも振り返る。
そしてなぜか、ルナミアへ近づこうとする。
理由はわからない。グリードを止める理由もわからない。ただ、付いていく。
ルナミアがこちらに気付いた。グリードにおびえているようだった。僕の顔は見えているはずなのに、安心した顔は見せてくれなかった。
グリードが挨拶する。
「なんで、そんなのと一緒に…」
そう聞こえた。
逃げていくルナミアを追いかけることはできなかった。
「……これだから飼い猫は嫌いだ」
「グリードがいるから……」
「ん?」
「グリードがいるから逃げ出したんだろう!そんな、そんな怖い顔してるから!」
「お前……」
なぜ、いま、怒っているのか。
「僕一人なら、笑いかけてくれるのに!あんな辛そうな顔、初めて見たよ!」
八つ当たりだった。嫌われたと思って、全部グリードのせいにしたかった。
何がしたいのかわからなかった。
でも、わからないなりにしたいことはある。
ルナミアと一緒にいたい。
その欲望に忠実になった。
「そうか」
「もうどっかいけよ。グリードに頼らなくたって……」
「なぜ、今すぐルナミアを追いかけない」
「……早く行けよ!」
「わかった」
グリードの威圧感は以前のものに戻っていた。
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