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パンデミック
第六十八話「見破った能力」
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問を混ぜ合わせたような表情を見せるアクエリアス。
タガートも内心、疑問だった。

何故、突然目の前の適合者を認知できたのか。
そして、なぜ今の攻撃をその能力とやらで回避しなかったのか。

移動用の能力ではなかったのか?
ただ高速で動く能力ではないということか?
そもそも、奴は真横を何食わぬ顔で横切ろうとしていた。
どうなっている?
あの視界の歪みは何だった?
奴の能力は一体……

疑問の上に疑問。
考えても分からない。


なら、もう一度だ。
もう一度攻撃を仕掛けて能力を使わせる。
もう一度見れば、何か掴めるかもしれない。

「全員で斬りかかれ!」

タガートの指示で、兵士たちが動き出す。
それぞれがナイフを構え、アクエリアスに斬りかかる。

「………」

斬りかかられようとしているが、無言のまま、ただその場に突っ立っているだけ。
避ける兆候は微塵もない。

はずだったが…………






!?







また消えた。

目の前から忽然と。






「(能力を使ったか! どこだ? 今度はどこに……)」

攻撃を中断し、その場の誰よりも早く辺りを見回し始めたタガート。

再び感じた。
自身の視界のわずかな歪み。
眩暈を起こしているかのような気持ち悪い感覚。

これが見えたのなら。




見つけることができた。

自分の真正面に。




「そこか!」

すかさずタガートはナイフをアクエリアスの喉に突き立てた。

「クソッ!!」

咄嗟に避けようと身体を捻るが、それでも避けきれず、頬を掠める。





「(参ったな……自分の能力のタネにそろそろ気づいたか……?)」

頬から流れる血を拭い、苦々しい表情を見せる。


「休む暇は与えない」

そう言うや否や、タガートは一人でアクエリアスの懐に突っ込む。

「………」

やはりこれまでと同じようにその場から動こうとしない。
避ける素振りは全く見せない。
だが、油断するつもりは、今のタガートには一切ない。








タガートの予想通り、また消えた。
そして焦らず、周囲を見回す。

すると、視界の左隅にちらりと見えた。
視界の歪みが。

「そこだ!!」

すかさずナイフを振り抜く。

「ぐっ……!」

再び姿を見せたアクエリアスは、タガートの攻撃を避けきれず、右肩に大きな切り傷を負った。
これまでの戦闘で、初めて適合者にダメージを負わせることができた。

「(……完全に能力を見切っている。逃げは難しいか……)」












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