第76話 強敵だった奴もコツとか経験値とか積みまくってる内に気が付いたら雑魚キャラになってるのは日常茶飯事
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「……ない!?」
銀時の目に映ったのは、粘液に触れていながらも溶けていない自分の右手であった。その光景に銀時は勿論ゲル状生物も唖然としていた。
確かにあの時、ゲル状生物は銀時の腕を溶かそうとして粘液を飛ばしてきた。だが、それに対して銀時の右腕は全く健在のままだったのだ。
強いて言うなら、着ていた着物の一部が溶けてしまっている程度で済んでいる。
「体は無事でも着物はダメって事か。まぁ、これで死ぬ事はなくなったって訳だな」
右手に残っていた粘液を軽く振り払い、粘液の集合体を睨んだ。今度は粘液の集合体が及び腰になり始めた。
「どうした? さっきまでの威勢は何処行ったんだ? も一辺さっきみたいに粘液飛ばしてみろよ。無駄だけどな」
一転して銀時が優勢になった。理由は分からないがこいつの殺人粘液はどうやら自分には効かないようだ。となれば後はこの邪魔な粘液を振り払って中にある紅桜を破壊するだけになる。
無論、それは銀時にしてみれば容易い事であった。如何に粘液の集合体だとしてもそれの効力がなければ所詮只のスライムもどきであった。
銀時は着ている着物に粘液が当たらないように粘液を弾き飛ばし、その中にあった紅桜を取り出した。粘液から出してしまえば刀だけでは何も出来ない。折れた刀身が銀時の手の中で身動き一つせず鎮座していた。
「散々な目に合わせやがって。これで仕舞だコノヤロー!」
上空に向かい紅桜を放り投げた後、袈裟掛けに白夜を振り抜き、これを破壊した。これにて部屋内に居たゲル状生物は退治完了した事になる。
「終わったな。ってか、あちちっ! そう言や今此処燃えてるんだった! さっさとでねぇとこんがり小麦色になっちまう!」
急ぎ足で部屋から飛び出し。戸を閉めた。通路には誰も居ない。村田兄妹も、あの高杉の姿もなかった。
「鉄子やバカ兄貴はともかくとして、高杉の野郎何処行きやがった?」
辺りを見回しながら次に向かう場所を詮索する。一切地理もなく乗り込んでしまった手前、船内にこれ以上いるのは余り良い気がしなかった。
「一旦外出るか……にしてもだりぃなぁ。この件が片付いたらたんまり謝礼をふんだくってやる!」
ぶつくさ文句を言いながらも銀時は適当にぶらつく。船内の地図がないのだから当然あてずっぽうになる。その為か船の外に出るには出られたのだが、其処は屋形船の丁度屋根部分に当る場所だった。視界いっぱいに広がる青空と心地よい風が銀時に一時の安堵を与えてくれた。
「おんやぁ、あんた生きてたんだぁ?」
「あぁん!?」
何処か癪に障る声が響いた。恐らく、銀時にとって今二番目に聞きたくない声に相当する声であった。
そして、その声の主は丁度銀時の目の前に立っていた。
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