第76話 強敵だった奴もコツとか経験値とか積みまくってる内に気が付いたら雑魚キャラになってるのは日常茶飯事
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にでもなって来やがれ!」
締めの一言を添えて上空に浮遊している紅桜の刃目がけて白夜を振り抜いた。
その一撃で大半の紅桜を叩き折り、機能不能の状態にする事には出来た。だが、すべてではない。
「後何本だ?」
周囲には後3本の紅桜が浮遊している。しかも、丁度良く3本共銀時の目の前の位置にあった。
「これで仕舞だぁ!」
叫びと共に渾身の一振りを放った。横一文字に放ったその一閃により残り3本の内2本は壊せた。だが、運悪く1本だけが残ってしまった。
「ちっ、もう一度―――」
再度攻撃を試みようとした矢先だった。突如として銀時の顔面目がけて例のゲル状の粘液が襲い掛かってきたのだ。咄嗟に銀時は身を翻してそれをいなし、地面に降りる。再度上空を見上げると、例のゲル状の粘液が残った最後の1本に群がっているのが見えた。
しかも、その大きさは先ほどの人間型とは比べ物にならない位のでかさにまで膨れ上がっていた。恐らく20体分の粘液を集合させた結果だろう。その外見は最早例えるのも難しい形容となっていた。
「嘘だろう……」
完全に手詰まりになってしまった。唯一の弱点でもある紅桜の刃は危険極まりない殺人粘液の山の丁度中心部に陣取っている。粘液の量からしても白夜を使った所でギリギリ届かない。
「マジかよ、最後の最後でこの手はねぇだろ。どんだけ化け物に仕上げたんだよあのバカ兄貴!」
目の前で蠢く怪物を前にして銀時は愚痴った。愚痴りたくもなる。折角見えた筈の光明が突然消え去ってしまったのだから。希望への道が音を立てて崩れていくのが聞こえてくる。
ゲル状の集合体が銀時に向かい無数の粘液を飛ばしてきた。それだけでなく粘液の鞭やらとにかく粘液まみれの攻撃をしてきた。
「この野郎! 今度こそガチで俺を殺しに来やがったな!」
白夜で粘液を弾き飛ばしつつ走りながらそれらを回避し続ける。依然の人間体の攻撃が可愛く見えてしまう有様だった。粘液の弾丸を白夜で弾き、粘液の鞭をかわし、それでも何か打開策はないかとひたすらにあがき続ける銀時。だが、時間がない。もう部屋が火の海になるまでせいぜい後5分と言った所だった。
「畜生、時間がねぇ。どうする、どうすりゃ良い―――」
焦りが銀時の手を鈍らせた。そんな銀時をゲル状集合体は見逃さなかった。銀時目掛けて粘液の鞭をしならせてきたのだ。気づけばその鞭は銀時の真横にまで来ていた。回避は間に合わない。白夜で防ぐ時間もない。
「くそっ!」
苦し紛れに銀時は片腕を翳して粘液から頭部を守った。これで片腕はなくなるだろうが死ぬよりはましだ。銀時の右手に粘液が覆い被さる。
何とも言い難い感覚がしたがそれも一瞬だ。瞬く間に銀時の右手は粘液により溶かされ―――
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