八十七 彼女の決意
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ジが軽く片眉を吊り上げた。
「……しかし、これはチャンスだ」
不意を衝く作戦で、君麻呂・左近・鬼童丸に追いついたシカマル達は、次郎坊の姿に化ける事で三人の眼を欺こうとする。結果として失敗に終わったが、敵を分断させる事は出来た。
君麻呂・左近を先に行かせ、一人残った鬼童丸に対し、対抗出来るのは【白眼】を持つネジのみ。
「アイツの術…どうやら俺にしか、やり様が無いようだ」
蜘蛛の糸を無尽に張り巡らす鬼童丸。象が二頭で引っ張り合っても切れないほどの強度を誇る糸を唯一断てるのは、このメンバー内では日向一族のネジだけだ。
鬼童丸の頬が大きく膨れる。吐き出される強靭な蜘蛛の糸がネジを始めシカマル達を容赦なく襲う。
刹那。
「いいえ」
蜘蛛の巣を一瞬にて断ち切った小さな影が、ネジ達の前に躍り出た。肩まである髪を靡かせて。
「同じ日向一族なら―――」
すっと手の甲を眼前に掲げる。一族特有の独特の構えをとる彼女の姿に、ネジは眼を見張った。
ネジと同じ【白眼】が鬼童丸を油断なく見据えている。
「私もいます」
おどおどとした仕草ではあるが、何時になく強気な眼差しで、彼女は―――日向ヒナタは凛と佇んでいた。
その姿はまるで、彼女が敬愛する波風ナルによく似ていた。
「私が、闘います」
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