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渦巻く滄海 紅き空 【上】
八十七 彼女の決意
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た。
ナルを置いて先に行くと決めた己の判断を。

今回はナル自身が次郎坊と闘う事を決めたが、シカマルは最初から敵と闘う一番手に彼女を選ぶつもりであった。
その理由は木ノ葉の里に最も近い故、一番早く救助を受けられるからだ。仮に何かしら怪我を負ったとしても、助かる可能性が最も高い。
それを考慮したからこそ、シカマルはナルを置いて先に行くと決断を下した。

(頼むから、追い駆けて来てくれるなよ…)
そう願うシカマルだが、その一方で彼は知っていた。
サスケを連れ戻す為に彼女が追って来るだろうと。

いくらシカマルがナルを心配しても、己の身よりも他人を気遣う彼女の事だ。
きっと、どれだけ傷を負っていても追い駆けてくる。
それが波風ナルなのだと、シカマルは解っていた。

ずっと隣でみてきたのだから。












土が荒々しく露出している。
大地は掘り返され、木々や草花は皆尽く潰されていた。

戦闘の激しさを物語るその場で、双方はお互い息を切らしている。
とうに決壊した【土遁結界・土牢堂無】の名残が両者の間で瓦礫の山と化していた。

「お前、相当なチャクラ量だな。喰い応えがありそうだ」
「やれるものなら、やってみろってばよ!!」
荒い息遣いの中、応酬する。今のところ互角の闘いを繰り広げていた波風ナルと次郎坊は、共に全力でぶつかっていた。

しかしながら【羅漢拳】に加え土遁を用いる次郎坊に対し、ナルは【蛙組み手】一択しか繰り出していない。それが次郎坊には気掛かりだった。まだ奥の手を隠しているのではないか、と。
一方のナルも、そろそろ【蛙組み手】を使うのを控えなければならなくなっていた。何故ならば、彼女は実際に仙術を会得したわけではないからだ。

自然エネルギーを取り込むと忍術・体術・幻術が大幅に強化する。この自然エネルギーに身体エネルギー・精神エネルギーが三位一体化したチャクラを『仙術チャクラ』と呼ぶ。
この仙術チャクラを完璧に用いるには長い修行が必要だが、ナルは一度、ネジとの中忍試合にて自然エネルギーの一部『風』を利用している。
もっとも、仙術を会得していないのに自然エネルギーを多く取り込む事は危険なので、ほんの一縷だが。

実は【蛙たたき】も中忍本試験前にフカサクから教わっていたものの、会得出来ず仕舞いだったのである。そんな折、チャクラコントロールが苦手なナルを見兼ねて、綱手が【桜花衝】を教えてくれたのだ。
【桜花衝】とは、体内チャクラを一気に練り上げ、瞬時に拳に集中して放つ剛拳。例を挙げれば、綱手の怪力を指す。
しかしながら、【桜花衝】は緻密なチャクラコントロールが必要な為、ナルはなかなか扱える事が出来なかった。そこで目につけたのが、自然エネルギーの一部である『風
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