第二章 終わらせし者と月の女神
第十話
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と思っているのだろう。実際余り間違った比喩とも言えないけども、これから起こる争乱や戦争の事を思ってそう言った。
彼はまだ知らないのだ。これから暗黒教団による恐怖政治が行われようとしている事を。願うべくは神がその戦いで使える力を私に授けてくれること。
旅の目的は、もうすぐ果たされようとしていた。
その一方で、セレーネという暗黒教団から狙われた少女はシルベールを目指して歩いていた。呪いによる死の淵から解放された彼女の道に困難は続く。
「よりにもよって、なぜ山賊があんな所に出るのでしょうか」
「しかも正気を失ってる化け物みたいな奴ら」
「どうやら、セレーネさんを狙っている奴らというのは手段を選ばないようですね」
セレーネの護衛の者達は、先程倒した山賊達の事を話している。彼女は父を殺されて、自身も命を狙われているというのがよく分からなかった。
つい少し前までは、魔法が得意なだけの少女だったのだ。それが優秀な戦士達にとっても厄介だと思わせる人達に命を狙われている。
最初は父が狙われた理由が彼女を狙う理由なのだと思っていた彼らだったがそれだけじゃないとフレデリクは言った。
多分それは間違ってはないのだろう。敵は恐らく闇を生業にするものだ。彼らは表に出ることなく人を殺そうとしてきた。それでも彼女を殺すためにその輪郭を少しずつ見せ始めている。
現にさっき倒した山賊の一人から黒いローブを深く被った奴に魔法をかけられたと聞いた。正気を失っていた彼らを見るに偽りで語ったのではないというのはわかった。
それでも前に進むしかなかった。ブラギの塔にたどり着くことが出来れば全てわかる。そんな漠然とした何かがセレーネだけではなく、その仲間達にも広がっていた。
「ところでシルベールからどうやってブラギまでいきますか?」
セレーネはフレデリクに声をかけた。
「道は二つあります。一つはシルベールから出ている船に乗ること。もう一つは、このまま陸を海岸線を通ってブラギまで行くルートです」
「うーん、どちらがいいのでしょうか?」
「安全面を考慮すれば、間違いなく陸のルートですね。でも船に乗ればあっというまですが船ならば覚悟した方がいいです」
「それは危険だと?」
「ええ、陸とは違って船は周りに逃げ場もありませんし、船が燃やされたりしたら一発でしょう。私なら、多少時間がかかることになっても陸の方から行きます」
「わかりました。では陸の方から行きましょう」
こうして彼女の一行は、陸のルートで目指すことになった。しかし、旅とは先が見えないのもまた一興。
彼女達の困難はまだ続く。
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