§66 腐りきった果実の果て
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を落下させて天変地異を起こせば弱り切った神程度なら容易いかと」
「「…………」」
別にその程度の呪力なら今のお義兄様でも余裕でしょうと言葉が続く。純粋に、本当に不思議そうに尋ねてくるその様子に、黎斗のみならず流石のドニも絶句する。
「……黎斗」
「……言わないで」
「……羅濠のねーさまって実はブラコン? っていうか天然入ってる?」
「だから言うな! 僕は知らん!!」
呪力の有無以前にそんなことしたら世界の終りだ。まぁ仮にやったとしても。
「だいたい海面半分にしたくらいで呪力尽きるから。……あれ。でも魔神来臨や護堂の山羊で呪力かき集めれば余裕で行けるじゃん。海全部吹き飛ばして隕石降らせまくるのが一番手っ取り早いか……?」
「いや黎斗それやめよう!?」
真面目に考え始めた黎斗にドニが慌てて止めに入る。アンドレア辺りが見たら「世界の破滅を気にするとは。お前も成長したな……」と涙するであろう光景だ。
「それやられたら人がいっぱい死んじゃう! そしたら次のまつろわぬ神がいつでるかわかったもんじゃない!!」
アンドレアの涙がとまって「だよな知ってた」と真顔で返しそうな言葉を発するドニに、黎斗も正気が戻ってくる。
「そうだよみんな死んじゃうじゃん。翠蓮それでいいの? 人はともかく自然崩れるのって嫌いでしょ?」
「構いません。天地の理は確かに尊重すべき事柄ではありますが、お義兄様の邪魔になるのが悪いのです。星も、お義兄様のためならば喜んで滅ぶでしょう」
「……うわーぉ」
ドニがマジ声でドン引きしているレアな光景だ、などと思いつつも黎斗の顔が盛大に引き攣る。この子ヤンデレになるんじゃなかろうか。
「厨二病を拗らせるとこうなるのか……」
人生の多感な時期を過酷な環境や黎斗といった特殊な環境で過ごし、引きこもった結果完成した佳人の人格は既に末期を通り越して終わっていた。
○○○
「どうしよう」
恵那は一人途方に暮れる。勝手に恥ずかしくなって館を飛び出して。冷静になればなんでこんなことをしたんだろうか。
「帰りにくいなーなんて言って帰ればいいんだろう……」
なんとなく、バツが悪い。
「だいたいこーゆー時はれーとさん迎えに来てくれてもいいんじゃないかなぁ」
文句を口にするも、明らかに筋違いであることは自分でもわかっている。今頃黎斗は館で混乱しているだろう。それを想像すると可笑しくなってくすりと笑えた。
「ふふっ」
巫女服というただでさえ目立つ服装で、美少女が微笑みを浮かべたまま歩いていれば注目の的になる。
「ねぇ、そこのキミ」
金髪の美青年が声をかけてくるが、取りつく島など全
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